講道館試合審判規定と国際柔道連盟 (IJF) 試合審判規定の相違点

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講道館
IJF
解説および補足
試合時間 試合時間は、3分から20分の間で、あらかじめ定めるものとする。
ただし、試合時間の延長を行うことができる。
世界選手権とオリンピック競技大会の試合時間は以下とする。
男子、女子共に5分。
ジュニアの男子、女子共に4分。
全日本選手権の試合時間は5分
その他の国内主要大会の試合時間5分
通常高校生の試合時間4分
通常中学生の試合時間3分
通常少年の試合時間2分
延長戦(ゴールデンスコア) 講道館規定には、延長戦(ゴールデンスコア)はない。 両試合者に得点がなかった場合、又は得点(技あり、有効、効果)のどれもが同じである場合、その試合の勝敗は延長戦(ゴールデンスコア)によって決定される。 ゴールデンスコアの詳しい説明はこちら。
団体戦および個人戦のリーグ戦ではIJF規定でも「引き分け」がある。
禁止事項(反則) 講道館規定の反則の累積についての説明はこちら IJF規定の反則の累積についての説明はこちら 禁止事項(反則)の詳しい説明はこちら
投技での「一本」の定義 技を掛けるか、又は相手の技をはずして、相当の勢い、あるいははずみで、だいたい仰向けに倒したとき。
(「技を掛けるか、又は相手の技をはずす」「相当の勢い、あるいははずみ」「だいたい仰向けに倒す」の3つの条件を十分満たしていることが「一本」の条件。)
試合者の一方が、相手を制しながら背を大きく畳につくように、相当な強さと速さをもって投げたとき。
(「相手を制しながら」、「背を畳につく」、「強さ」、「速さ」の4条件を十分満たしていることが「一本」の条件。)
投げられた試合者が、ブリッジをして背部を畳につけない場合でも、「一本」の条件を満たすときは「一本」と判定する。
投技での「技あり」の定義 完全に「一本」とは認めがたいが、いま少しで一本となるような技。
(一本の3つの条件のうち、二つは十分満たされているが、一つが部分的に満たされていない場合は「技あり」となる。)
試合者の一方が、相手を制しながら投げ、その技が「一本」に必要な他の3つの要素(「背を畳につく」「強さ」「速さ」のうち一つが部分的に不足している場合。 「技あり」二つで「合わせて一本」となる。
巴投を施したとき、直ぐには効かずに一度背を畳につけた姿勢からなおもその動作を続けて投げ、それによって「一本」相当の場合は「技あり」、「技あり」相当の場合は「有効」となる。
投技での「有効」の定義 「技あり」とは認めがたいが、今少しで「技あり」となるような技。
(一本の3つの条件のうち、一つは十分満たされているが、二つが部分的に満たされていない場合は「有効」となる。)
試合者の一方が、相手を制しながら投げ、その技が「一本」に必要な他の3つの要素(「背を畳につく」「強さ」「速さ」」のうち2つが部分的に不足している場合。 いくつ「有効」があっても、一つの「技あり」に及ばない。
投技での「効果」の定義 講道館規定では、「効果」という技の判定はない。 試合者の一方が、相手を制しながら、「強さ」と「速さ」とをもって、片方の肩、尻、大腿部がつくように投げたとき。 いくつ「効果」があっても、一つの「有効」に及ばない。
 
講道館
IJF
解説および補足
主審と副審の意見が異なった時 副審は、主審と異なった意見があった場合は、所定の動作によって表示し、その他については、その旨を申し出るものとする。また、その場合は多数決によって決定する。
意見が三者三様の場合は、三者で合議して決定する。なお、三者三様で意見が決まらない場合は、主審の意見を主とする。
主審が技の評価や罰則について、2名の副審より高い評価を宣告した場合には、副審2名のうちで高い方の評価を示した副審の評価に修正しなければばらない。
主審が技の評価や罰則について、2名の副審より低い評価を宣告した場合、副審2名のうちで低い方の評価を示した副審の評価に修正しなければならない。
主審の評価に対し、副審の一方がより高い評価を示し、他方がより低い評価を示した場合には、主審は自分の評価を維持しなければならない。
ただし、評価を与える試合者が異なる場合(たとえば、主審と副審の1人が「有効」を青の試合者に与え、もう一人の副審が白の試合者に「一本」を与えた場合)、3人の審判が合議してどちらの技の効果かを決定する。
三者三様の場合、講道館規定では、三者で合議して決定するが、IJF規定では、三者の中間の評価になる。
蟹挟をかけること 蟹挟は技法として認められている技であるが、試合者の程度によっては危険性の高い技であるため、大会責任者によって取り扱いを決定する。禁止した場合は、掛けたときは「警告」を与え、さらに掛けたときは「反則負け」を与える。 蟹挟は禁止技となっている。
掛けた時は、相手を傷つけたり危害を及ぼす行為とみなされ「反則負け」となる。
現状全日本選手権でも「蟹挟」は禁止技となっており、事実上講道館規定の試合でも「蟹挟」を認めている大会はないと思われる。
抑えこみの時間 30秒:一本
25秒以上30秒未満:技あり
20秒以上25秒未満:有効
25秒:一本
20秒以上25秒未満:技あり
15秒以上20秒未満:有効
10秒以上15秒未満:効果
 
抑え込みを相手の足を挟んで逃れる場合 抑え込まれている試合者が、上から相手の足または脚を両足で挟んだ場合は「解けた」となる。 抑え込まれている試合者が、上からでも下からでも相手の足または脚を両足で挟んだ場合は、「解けた」となる。
ただし、「縦四方固」で抑えられているときは、下から挟んでも「解けた」とはならない。
「下から挟む」とは、たとえば、「袈裟固」で抑えられているときに、相手の体に近い方の足をかかとの方から相手の足または脚にからめること。講道館規定では、「下から挟む」場合は「解けた」とならない。
寝技の場内/場外の判定 寝技においては両試合者の全身が出た場合をいう。
(どちらかの試合者の一部でも「立体的に見て」場内にいる間は「場内」とみなし寝技を継続させる。「立体的に見て」とは、場内外境界線に垂線を立てたと仮定して判断するということ。たとえ畳から浮いた状態であっても、身体の一部が場内に残っていれば場内とみなす。)
寝技では、どちらかの試合者の身体の一部でも場内に触れている限り、試合者の動作は有効であり、継続しているものとする。 IJF規定では、講道館規定のように場外線を立体的にとらえることはないので、あくまで身体の一部が畳に接していることが場内の条件となる。
 
講道館
IJF
解説および補足
柔道着の色 特に規定はないが、慣例として白の柔道衣を着用している。 試合者は青色又は白色の柔道衣を着用する。(先に呼ばれる試合者は青色柔道衣、次に呼ばれる試合者は白色柔道衣を着用する。)  
女子の服装 女子は、上衣の下に、半袖、丸首のシャツ(白色)を着用する。 女子の試合者は上衣の下に、次のいずれかを着用しなければならない。
1)相当な丈夫さがあり、下穿の中に入る十分な長さのある、白色又は白に近い色の半袖のTシャツ。
2)白色又は白に近い色の無地のレオタード。
 
負傷のときの医師の診察および治療(負傷の原因が、相手の試合者の責任でない場合) 医師は、負傷した試合者を診察することはできるが、治療することはできない。治療を施したときは、その試合者は「棄権」となる。試合者は、一試合に診察を2回受けることができる。2回を超えた場合、その試合者は「失格」となる。ただし、軽微な負傷のときは、医師は、その負傷した試合者を処置することができる。 試合者は主審に医師を呼ぶことを求めることができる。ただしこの場合にはその試合は終了され、相手の試合者に「棄権勝ち」が宣告される。
(審判員が重大な負傷と判断した場合は、回数に関係なく主審は医師をよび診察させることができる。)
 
少年規定 少年規定の詳しい説明はこちら IJF規定には、少年規定はないが、国内の大会においてその大会のレベルに応じて主催者が適当な規定を設けることができる。  

参考資料:
「詳解 柔道のルールと審判法 [2004年度版]」(大修館)
「講道館柔道試合審判規定 <取扱い統一事項> (平成13年6月4日改正)」 (講道館/全日本柔道連盟)
「国際柔道連盟試合審判規定 2003年度4月14日施行(2003年IJF理事会決定)」(全日本柔道連盟)
各種公認審判講習会資料