階級概況

優勝争いは混戦。安定して勝ち続けている選手はおらず、本命を1人に絞ることは難しい。ただし、候補者は限られている。具体的にはアッスンタ・スクット(イタリア)、アビバ・アブジャキノワ(カザフスタン)、古賀若菜(JR東日本)、ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)ら昨年大会のメダリスト4名に、シリーヌ・ブクリ(フランス)、フイ・シンラン(中国)、ジュアン・ウェンナ(中国)の3名を加えた計7名。基本的には、このグループの中から王者が現れると考えておいてよいと思われる。

純粋な競技力でいえば古賀、スクット、ブクリ、アブジャキノワの4名がやや抜け出しているが、いずれも実際には「常に勝ち切る」というレベルの安定感を見せられてはおらず、ことトーナメントの“順位”という視点で考えるとマルティネス=アベレンダ、フイ、ジュアンらにまくられる可能性も低くはない。ここでは敢えて横一線と捉え、同じグループに吸収した。
続くサビーナ・ギリアゾワ(ロシア)、バフードルジ・バーサンフー(モンゴル)らメダル圏内グループも、上記の優勝圏内グループとは大きな力の差はない。パフォーマンスの平均値や直近の調子でグループを分けたが、直接対決で上位選手に勝利する可能性はもちろん、コンディションや組み合わせなど各種条件が噛み合った場合には、このグループから優勝者が出てもおかしくない。特に休養から復帰し、順調に調子を上げてきている2024年世界選手権王者・バフードルジや、同じく上り調子のマリーナ・ヴォロベワ(ロシア)、クラリス・ヒベイロ(ブラジル)らには要注目だ。

続くベスト8を狙うグループも、普段のワールドツアーであればメダル候補となる強豪だ。世界大会のメダル候補とまでは言えないが、単発の番狂わせを起こすだけの力は持っている。
ここまでがいわゆる上位グループということになる。合計人数は実に21人。いずれも柔道自体が魅力的な選手ばかりで、非常に見応えのある階級である。のっけに「混戦」と書いたが、これは全体が低調ゆえに生まれたものではなく、役者が揃い、レベルが上がったゆえの現象。「リオー東京」期に一部上位陣が面白いだけで全体としては焼け野原の感があった48kg級は、いまや充実期を迎えつつある。
シード予想

【プールA】
第1シード:フイ・シンラン(中国)
第8シード:ジャムスラン・アヌダリ(モンゴル)
【プールB】
第4シード:ジュアン・ウェンナ(中国)
第5シード:シリーヌ・ブクリ(フランス)
【プールC】
第2シード:ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)
第7シード:マリア=セリア・ラボルデ(アメリカ)
【プールD】
第3シード:サビーナ・ギリアゾワ(ロシア)
第6シード:古賀若菜(JR東日本)
【シード外有力選手】
アッスンタ・スクット(イタリア)、アビバ・アブジャキノワ(カザフスタン)、バフードルジ・バーサンフー(モンゴル)
優勝圏内グループのうち、昨年大会ファイナリストのスクットとアブジャキノワの2人がシードから漏れた。有力選手の数が多いゆえ、この2人だけでトーナメントの様相が決まるというほどの影響力はないが、ジョーカーポジションと考えたい。また、バフードルジの配置にも注目。世界選手権までに完全に仕上がることはないと思われるが、順調に調子は上げてきている。大舞台に対する適性の高さを考えれば、やはり怖い存在だ。
シード選手に限れば、優勝圏内グループの配置は概ねきれいに分かれ、同居しているのはプールBのブクリとジュアンのみ。この両者による準々決勝が現時点で想定出来る“山場”だ。対戦成績は1勝1敗。最近のパフォーマンスからはブクリの勝利を予想するが、この選手は大舞台で力を発揮し切れない傾向がある。ジュアンにも勝利の可能性はあると考えたい。
初優勝を狙う古賀はプールDに配され、順当ならば準々決勝でギリアゾワ、準決勝でマルティネス=アベレンダという組み合わせ。苦手とする密着型のパワーファイターは配されておらず、見通しは良好。古賀の優勝を考えると、密着戦を得意とするアブジャキノワは反対側の山に入る方が望ましい。とはいえ、仮に同サイドを引いたとしてもミスさえなければ十分勝利出来るはずだ。
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