【プレビュー】軽量級は混戦、73kg級は昨年2位の花岡晴琉が雪辱を期す/全日本学生柔道 Winter Challenge Tournament 2025展望①60kg級~73kg級

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「登竜門」感増すメガトーナメント、今年は国内初めて新ルールを採用

学生柔道界冬の一大イベント、「全日本学生柔道 Winter Challenge Tournament 2025」(15日~16日、天理大学杣之内第一体育館)の開催がいよいよ今週末に迫った。昨年は7階級に700人を超える選手がエントリ―した、国内随一の巨大大会。新人戦的な位置づけだが競技レベルは高く、一昨年度はこの大会の優勝をきっかけに100kg超級の酒井晃輝(天理大)と90kg級の藤永龍太郎(国士舘大)が当年の学生王座を獲得。昨年の参加者からは73kg級の小田桐美生(国士舘大)が同じく学生タイトルを得、90kg級の徳持英隼(明治大)は一気に講道館杯王者まで駆け上がった。2階級制覇の関本賢太(明治大)はほぼ1年が経った先週、グランドスラム・パリでみごと銀メダルを獲得している。「登竜門」感は回を重ねるごとに増し、もはや“旧・体育系大会”という説明も必要なし。今年の学生柔道、どころか柔道競技全体の行方を占う超重要イベントと言って差し支えないだろう。

今年は、IJFの所謂「新ルール」が国内で初めて採用される大会としても注目を集める。「この大会の趣旨は“チャレンジ”。選手だけでなく、運営側も審判も挑戦する大会なんです」(主催者)との呼びかけに応じて、多くの審判員が天理に集うこととなった。この観点からは、全日本選抜体重別選手権大会の前哨戦とも捉えられる。ファンのみならず、業界人にとってもまさに必見のイベントだ。

例によって、組み合わせ抽選は敢えて大会直前。IJFワールドツアーを意識したこの措置により、事前研究の時間がほとんどない。選手には正味の「柔道力」と幅広い対応力、そして超巨大トーナメントを最後まで勝ち抜くための体力・精神力が求められる。熱戦に期待したい。

今年も全7階級の様相を展望してみたい。前述の通りまだ組み合わせは出ていないのだが、エントリーリストをもとに、大会組織委員の方々に各階級のみどころを語って頂いた。

(古田英毅)

監修:eJudo編集部 各階級展望・文:大会組織委員会

60kg級 天野武蔵、宮部真臣、下平清哉ら軸の混戦

天野武蔵

実力者ひしめく、混戦必至の階級だ。2023年全日本学生3位の天野武蔵(明治大4年)を筆頭に、本大会5位の宮部真臣(國學院大3年)、全日本ジュニア3位の下平清哉(山梨学院大2年)らが優勝争いに絡む。

磯野隆太郎(筑波大1年)や志賀結太(法政大3年)も今年度は安定した成績を収めており、上位進出の可能性は十分だ。横井蓮(天理大1年)や田窪剛共(筑波大1年)といったフレッシュな顔ぶれにも注目したい。高校時代から結果を残してきた彼らが、大学の舞台でどこまで食い込めるかが見どころとなる。昨年度の全日本ジュニアで活躍した田中心(順天堂大)も、その実力を証明済みだ。

エントリ―92名のメガトーナメント。組み合わせ次第では、序盤から実力者同士の対戦が実現し、波乱が生じる可能性もあるだろう。実力はもちろん、勝負強さや試合運びの巧みさも勝敗を左右する。心・技・体のすべてを兼ね備えた者だけが、決勝の舞台に立つことが出来ると言っていい。新たな王者に輝くのは誰か。“Winter Challenge” の名にふさわしい、学生たちの「挑戦」する試合に期待したい。
(三宅恵介)

66kg級 大混戦、V候補筆頭は佐藤尚貴

大混戦が予想される中、優勝候補筆頭に挙げられるのは昨年この大会で5位に入賞した佐藤尚貴(日本大3年)。メキメキ力をつけており、今大会では一気に優勝を目指す。続いて2024年度全日本ジュニア柔道体重別選手権大会で5位に入賞した久松万照(山梨学院大3年)。さらに、2023年全国高等学校柔道選手権大会優勝の林海佑(山梨学院大1年)や、同大会2位の三好優希(國學院大學1年)のルーキー2人が上位2名を追いかける。ここまでがトップ集団だと考えられる。

第2グループに位置付けられるのは、池﨑尚登(順天堂大3年)、秋田伯(天理大3年)、60㎏級から階級を上げ本大会に挑む金井拓真(鹿屋体育大3年)、加えて坪井蓮矢(國學院大2年)といったところか。

どの選手にも優勝のチャンスはあるが、全選手に共通して言えることは、まだ「勝ち味を知らない」ということ。「絶対に自分が勝つ」という強い思いと、今大会に向けた対戦相手への「準備力」が問われる戦いになる。

昨年度大会、この階級は1大会限定で60㎏級から階級を上げてエントリーした関本賢太(明治大)が優勝した。今大会に出場する選手の“66㎏級のプライドを取り戻す戦い”から目が離せない。
(穴井隆将)

73kg級 昨年2位の花岡晴琉が雪辱期す

花岡晴琉

V候補筆頭は昨年の準優勝者である花岡晴琉(筑波大)。惜しくも優勝はならなかったが、厳しいパートをしっかり勝ち抜いて実力の高さを見せつけた。力強い組み手と思い切りのいい技を打てる度胸を併せ持つ、好選手である。雪辱を期す今大会の戦いぶりに期待だ。
この選手を、1年生ながら昨年7位入賞した石塚隼多(明治大2年)、鈴木孝太朗(帝京大2年)、全日本ジュニア5位の長瀬拳悟(桐蔭横浜大2年)が追うという展開になるだろう。またインターハイ優勝者の高橋叶(明治大1年)、インターハイ3位の古澤翔太(同志社大1年)が大学生としてどこまで伸びているかも楽しみなところ。全日本ジュニア出場の古賀光洋(天理大3年)、川中大輝(天理大1年)などは地元天理での戦いに燃えているだろう。
昨年はこのWinter Challenge Tournamentで3位の小田桐美生(国士舘大4年)がその後の全日本学生柔道体重別選手権大会で優勝、5位の太田隆介(日本大3年)が準優勝。この階級は群雄割拠、実力差は紙一重で予想は難しい。ここに名前の挙げることが出来なかった選手にも十分チャンスはあるだろう。熱戦を期待したい。
(金野潤)

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