
「登竜門」として定着、国内屈指の巨大トーナメント
学生柔道界冬の一大イベント、「全日本学生柔道 Winter Challenge Tournament 2025」(14日~15日、天理大学杣之内第一体育館)の開催がいよいよ今週末に迫った。
昨年は7階級に688名が参加した、国内随一の巨大大会。全日本強化選手と当年の全日本学生体重別選手権ベスト8進出者がエントリー出来ないという参加制限のある大会だが、学生柔道の層の厚さを反映してレベルは極めて高く、今大会の優勝をきっかけにそのまま当年の学生タイトルを獲得したものも多い。今大会2階級制覇(2023-2024)の関本賢太は翌年同時期にはグランドスラム・パリの銀メダルを獲得、同じくこの大会でキャリア初めての全国タイトルを掴んだ徳持英隼は同年からなんと講道館杯を2連覇、先週のグランドスラム・パリではやはり銀メダルを獲得している。まさに「登竜門」。今季の学生柔道の行方を占う超重要イベントである。
国内で初めて「新ルール」が採用される大会であることも注目ポイント。IJFワールドツアーを意識して組み合わせ抽選も直前であり、事前研究の時間がほとんどない。選手には正味の「柔道力」と幅広い対応力、そして超巨大トーナメントを最後まで勝ち抜くための体力・精神力が求められる。熱戦に期待したい。
今年もエントリ―リストを元に全7階級のみどころを、大会組織委員の方々に語って頂いた。
監修:eJudo編集部 各階級展望・文:大会組織委員会
60㎏級 田窪剛共がV候補筆頭

優勝候補筆頭は昨年度覇者の田窪剛共(筑波大1年)。2025年の全日本ジュニアでは5位入賞、これまでの戦績も申し分ない。
追うのは昨年度3位の小園輝希(東洋大3年)と磯野隆太郎(筑波大2年)だ。小園は2025年の全日本学生体重別選手権にも出場しており、この1年間は安定した結果を残している。磯野も上位争いに食い込める力を持つと見込む。上位を窺う勢力は、2024年全日本ジュニア3位で昨年度この大会5位入賞の下平清哉(山梨学院大3年)、2025年の全日本学生体重別選手権ベスト16の小林弥祐(山梨学院大3年)、原田彪有(日本大2年)。上位陣にとっては一戦たりとも油断できない戦いが続くはず。2025年の全日本ジュニア7位の中野来飛(國學院大2年)、山本風来(東海大1年)も勢いに乗れば波乱を起こし得る存在。
今大会は新ルールが採用され、技の評価の幅が広がった。この「有効」が勝敗を大きく左右する可能性がある。戦略的にルールを味方につける選手が台頭するのか、それとも従来通り「一本」を取る選手が勝ち上がるのか。新ルールスタート年における軽量級の、新たな勢力図を占う一日となるはず。
(中京大学部長・三宅恵介)
66㎏級 大崎天照を軸に好選手集う

優勝候補筆頭は、昨年度準優勝の大崎天照(愛知大3年)。昨年の本大会決勝では「技あり」を先制するも追いつかれ、GS延長戦の末にあと一歩のところで優勝を逃した。今大会は第1シードに配され、愛知大学勢初の優勝を狙う。
そしてこの大崎を中心に、今大会の66kg級は多多種多彩の好選手が揃った。対抗馬の第一は、攻撃的な柔道で今年度の全日本ジュニアを制した作本迅(天理大2年)。今大会も制して一気にシニア戦線に駆け上がれるかにも注目したい。
この二人に加えて、昨年度本大会5位の西山倖生(専修大3年)と今年度全日本ジュニア3位入賞の畝本泰聖(日本体育大1年)も要注目。西山は力強い柔道が持ち味、畝本は変幻自在の反応型。いかに「自分の持ち味」を発揮できるかに期待したい。
秋山悟大(帝京平成大3年)、吉岡利樹(熊本学園大3年)は、今年度の全日本学生柔道体重別選手権大会でベスト16に名を連ねる実力者。また、藤村心大(日体大3年)、喜多稜太(明治大2年)など、高校時代に実績を挙げた選手にもチャンスがあるはず。
66kg級は顕徳海利(天理大3年)や服部辰成(東海大3年)ら、学生が日本のトップレベルに入り込んでいる階級この大会からさらなる新星が登場することを楽しみにしたい。
(天理大学師範・穴井隆将)
73㎏級 実力伯仲、優勝候補は川中大輝

今大会屈指の、実力伯仲階級である。全国大会で実績を残してきた選手から成長著しい若手まで有力選手がずらり揃って、トーナメントの行方は最後まで予断を許さない。
注目はまず昨年のWCTで5位入賞を果たした 清水福虎(筑波大3年)と 西山一心(法政大3年)。ともに昨年以上の上位進出を狙ってくるはずだ。また、全日本ジュニア出場経験を持つ 貝尻篤哉(山梨学院大3年)、芳森順成(國學院大2年) も着実に力を伸ばしており、勢いに乗れば上位撃破も十分に考えられる存在である。帝京科学大2年の水野克基にも注目したい。全日本ジュニア出場、全日本学生ベスト16の実績を背景に、優勝を狙う一人だ。
他にも2024年WCTベスト8の 石塚隼多(明治大3年)、同じくWCTで上位進出経験のある 鈴木孝太朗(帝京大3年) ら、実績十分の選手の名が挙がる。
わけても優勝候補として挙げたいのが、全日本ジュニア3位、全日本学生ベスト16の実績を持つ川中大輝(天理大2年) である。投げ技の破壊力に加え、組み際や展開の作り方といったインサイドワークにも優れ、試合全体をコントロールできる総合力を備えている。
冒頭でも述べた通り、この階級は力の差が非常に小さく、ここに挙げた選手以外が勝ち上がる可能性も十分。誰が抜け出してもおかしくない混戦模様の中、選手たちの健闘を祈念したい。
(日本大学監督・金野潤)
81kg級 予想は混戦、上位進出候補多し

今回は混戦。出場選手全員に上位進出のチャンスがあると予想される。
注目選手は、昨年3位の松本開登(順天堂大3年)。昨年、全日本学生体重別への出場が叶わなかった悔しさをここで晴らす。このほか、全日本学生体重別ベスト16と、あと一歩で講道館杯出場を逃した甲斐大詩(國學院大2年)、藤本暖留(國學院大1年)、仁保秀太(東海大2年)、知念輝音(日本大2年)、北條允人(日本大3年)らの戦いに期待がかかる。このほか、高校選手権3位の竹吉瑞樹(国士館大1年)、インターハイ2位の中田涼太(東海大1年)の1年生2人の戦いも楽しみである。
個人的には、73㎏級から階級を上げて挑戦する実力者・長瀬拳悟(桐蔭横浜大3年)、インターハイ90㎏級3位で今回81㎏級にエントリーした片山謙心(帝京科学大1年)、法政大学のポイントゲッター・安藤吉平(法政大3年)、高校選手権2位の長谷川環(日本体育大3年)、高校選手権3位の祝恵誠(明治大2年)、関西学生2位の石屋侑大(天理大3年)、全日本ジュニアでインターハイチャンピオンに一本勝ちした木下連大(龍谷大3年)にも注目したい。
(関西大学監督・山城正記)
90㎏級 混戦予想、永石武蔵と津本隼冴が軸

90㎏級は混戦が予想される。昨年の全日本ジュニア準優勝の永石武蔵(天理大2年)と3位の津本隼冴(山梨学院大1年)である。永石は大内刈、大外刈を中心に天理らしい力強い柔道が持ち味である。津本は担ぎ技を中心にしぶとい柔道スタイルで、接戦を勝ち抜く力を持っている。両選手とも自分のスタイルにはまれば一気に優勝まで駆け上がる可能性を秘めている。
次に注目したい選手は柴田陽(東海大1年)である。相手を豪快に投げ切る技が魅力的で、昨年は世界ジュニアに出場し、団体戦では日本の優勝に貢献している。また昨年WCT準優勝の田中竜之介(東洋大3年)も昨年あと一歩のところで悔しい思いをしているだけに、最終学年の今大会にかける思いは強い。
ダークホース的存在は、昨年WCT5位の森山耀介(筑波大3年)だ。実力は持っているだけに波に乗れば勝ち上がる可能性は大いにある。その他にも昨年の全日本学生ベスト16の小島京士(国士舘大3年)、由永潤(東洋大3年)、全日本ジュニア5位の岡村颯馬(國學院大2年)もいる。
誰が勝ってもおかしくない。今大会を勝ち抜き世界で活躍する選手が出ることを期待したい。
(大阪体育大学男子監督・生田秀和)
100kg級 小田優雅ら前回上位陣に、素材揃ったルーキー世代が挑む

熱戦が予想される。上位進出が予想される選手としてはまず、昨年優勝を逃した小田優雅(法政大3年)の名が挙げられる。昨年は粘り強さと巧みな試合運びで強豪を撃破して決勝に駆け上がった。勢いに乗れば止まらない選手だ。続くは横手和輝(国士舘大3年)。2024年大会では7位、2025年大会では3位と着実に順位を上げており、今年はぜひともタイトルを手中に収めたいところ。前回大会7位の若月蒼空(中央大3年)も上位進出を狙う。本大会での勝ち方を知っている前回入賞者が、その経験値をどう活かすかに注目したい。
続くのは吉岡稟太朗(天理大1年)、山口瑛太(中央大2年)、飯田叶耀(東海大2年)、中濱洋希(明治大1年)、堀優隼(明治大1年)あたりか。とりわけ今年はルーキーの層が厚く、上記に挙げたメンバーに加えて佐藤然治(国士舘大1年)や饒平名和貴(日体大1年)の名も挙げておきたい。どこまで“challenge”できるのか楽しみである。
たダークホース的な存在としては、秋山大季(桐蔭横浜大3年)も潜んでいる。いずれにしても本大会は勢いのあるルーキーが既存の上位陣を脅かすのか、それとも経験豊富な前回入賞者がその壁となるのかが見どころ。心・技・体の全てが問われるこのメガトーナメントで、観る者を熱狂させる、白熱した戦いが繰り広げられることを期待したい。
(順天堂大学監督・竹澤稔裕)
100kg超級 V候補一番手は千野根玄貴

最重量級は混戦模様。その中でも優勝候補の1番手に挙げられるのは、前年度2位となった千野根玄貴(明治大3年)になるだろう。強烈な内股とフェイントの小外刈に威力がある。団体戦の経験が豊富なことも強みだ。追いかけるのは前々回3位、前回5位の熊谷諒也(国士舘大3年)、全日本ジュニア3位の瀬川賢豪(天理大1年)、東京ジュニア優勝の高橋翔(國學院大2年)あたりか。工藤瑠希(国士舘大2年)、惠良武大、杉山琢飛(ともに日本大3年)、佐藤虎白(東海大2年)、岡本剛道(國學院大3年)、川村恭輝(筑波大2年)らも力があり、上位をうかがう。これらハッキリした実力者の他にも有力選手は多く、波乱の余地は十分に考えられる。
また昨年同様1年生に楽しみな選手が多数エントリーしていることが見逃せない。山本虎太郎、名郷颯馬(ともに山梨学院大)大堀雄大(筑波大)、山本由聖(国士舘大)、大坂常汰朗、中祖俊輔(ともに明治大)、森元壮琉(中央大)、望月陸(早稲田大)、寺本竜彦(日本体育大)らの戦いぶりに期待したい。失敗を恐れず、ルーキーらしい思い切った柔道を展開してほしい。
例年、今大会をきっかけに飛躍する選手がおり、前期の全日本学生優勝大会の構図もこの大会で見えてくると考えられる。各大学の監督も新戦力を待ち望んでおり、チーム強化に直結する最重量級の戦いを注視している。盛り上がりのある、熱い戦いを期待したい。
(東海大学男子柔道部総監督・上水研一朗)
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