文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta
強過ぎた村尾三四郎、柔道の「美」に感じ入る

わかってはいたが、強過ぎた。ラシャ・ベカウリも田嶋剛希も、刃がまったく届かない。村尾三四郎の強さは、群を抜いていた。
あまりにも体幹が強いので、何を仕掛けてもまったく崩れない。「遠間で構える村尾には接近戦で勝負」というのが打倒村尾を期すライバルたちの共通認識だが、この体幹の強さを前にしては、もはや瞬発的な接近戦は難しい。スピードを上げると衝突の衝撃が上がり、仕掛けた側が弾かれてしまう。決勝、田嶋がいきなり自ら崩れたファーストタッチ、続いて内股返理合(弾き返す)で決まった小外掛「技あり」、さらに決着となった小外刈「一本」は、すべて瞬発的な接近がトリガー。端的な絵だった。瞬発的な接近はリスクが高過ぎるとなれば、寄って繋がりあって固定する「相撲」でないと勝てないわけだが、村尾が作る「絶対圏」を壊してそのステージに持ち込める選手はそもそもいない。この日村尾が接近を警戒して緊急回避の挙に出たのは、ラシャ・ベカウリ戦序盤のただ1回だけだった(この点、やはりベカウリはなんのかんのでまだ特別な存在だ)。
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