取材・文:古田英毅・eJudo編集部
写真:乾晋也・小美紀太郎・辺見真也
準決勝まで
「勝った方が五輪」の大一番
大一番がやって来た。
2021年東京五輪で金メダル、翌2022年には4度目の世界選手権制覇を成し遂げてパリ五輪代表内定も時間の問題と思われていた王者・髙藤直寿(パーク24)が、今年(2023年)に入って急減速。5月のドーハ世界選手権では2敗を喫してまさかのメダル逸、8月のワールドマスターズも3位に終わってしまい、いずれのタイミングでも内定を勝ち取ることかなわず。ついにこの12月まで勝負を持ち越すこととなってしまった。
一方、五輪後1度も世界選手権に出場がなく、若手の台頭もあって一時は代表争いの圏外に追いやられていた感すらあった2番手・永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)がこの間じわじわ浮上。7月のグランドスラム・ウランバートルを制すると、髙藤と同時出場のワールドマスターズ・ハンガリー(8月)も優勝して、この時点で内定を打たせることを許さず。粘りに粘り、ついにライバル髙藤をこのグランドスラム・東京の土壇場に引きずり込むことに成功した。
強化サイドがここまで内定を引っ張ったということは、理屈上、もっか髙藤と永山の間に内定の条件である「明らかな差」はないものと解釈される。そして今大会は五輪代表決定の「タイムリミット」。つまりこのグランドスラム東京大会は「2人のうち、勝った方が五輪」という大一番と規定されることになる。実績の積み上げが最重要視され、ゆえに差のつきやすい現行制度下においては非常に稀な、これ以上ないほど明確な「決定戦」だ。
髙藤、厳しい組み合わせ乗り越え決勝へ
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