グランドスラム・トビリシ2024、日本代表選手の「採点表」をお届けする。評価でもっとも重要視するのはこれまで同様「己の持てる力を十分発揮出来たか」(当日のパフォーマンス)と、先日から加えた「己を理解して必要な手札を準備し、その上で状況にあったカードを切ることが出来ていたか」(準備)の2つ。
今回はパリ五輪代表選手の比率が高いこともあって、「評」部分に少し重心を傾けた。以後の観察に繋ぐため、所見と提言をセットにすることを心掛けた。
採点・評:古田英毅/eJudo編集部
女子78kg超級 素根輝(パーク24) 5.0
成績:5位
意外な2敗で5位。確かにレネー・ルフトは絶好調だったし、大物イ・ヒョンジの出現は衝撃的だったが、因はあくまで素根の側にある。私達が持っている素根のイメージに比して、1つ1つの動作の崩れが大きい。技を受け切れずたたらを踏み、自分が掛ければ力が掛からぬまま自らバランスを崩して手を放してしまう。体のバランスが狂っている。足腰の強さが足りていない。長い目で見れば膝の手術の影響だと思うのだが、手術後に出て優勝した昨年5月のドーハ世界選手権では悪いなりにきちんと戦えていたから、ここまでの期間に何かがズレてしまったのだと考えるしかない。
ベアトリス・ソウザを体捌き1つで投げるなど上がった項も勿論あるのだろうが、素根の柔道の源泉は耐久力。揺るぎなく受け、弾き返すあのどっしりとした足腰の土台を失って、柔道が巡らなくなっていた。良い時の素根の映像と比べると、まずケンカ四つにおける立ち位置が遠いことがわかる。受ける際に予想以上に崩れてしまう違和感ゆえ間合いを取ってしまうのだと思うが、圧が掛からず、己の技も届かない結果になってしまった。小外刈をほとんど打っていないことも意外。これも、力が掛からぬゆえ焦って一発狙いの単発傾向になってしまったのだと愚考する。いずれも土台を失ったゆえ。序盤の進退を見た後では、2敗で5位という結果は決して意外なものではなかった。
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