【eJudo’s EYE】死角なかった角田、永山の敗北は論理的帰結/パリオリンピック2024柔道競技 第1日早出し評(女子48kg級、男子60kg級)

eJudo’s EYE(コラム)/記事
  1. ホーム
  2. eJudo’s EYE(コラム)
  3. 【eJudo’s EYE】死角なかった角田、永山の敗北は論理的帰結/パリオリンピック2024柔道競技 第1日早出し評(女子48kg級、男子60kg級)

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

死角なかった角田、「強かった」としか言いようがない

みごと金メダルを獲得した角田夏実

角田の優勝に関しては、競技的視点からはもはや「強かった」という言葉しかない。このフレーズをこれまで幾度使ったことかわからないが、今回も「誰もが来るとわかっている」巴投と腕挫十字固で正面突破。そして誰も、これを止めることが出来なかった。地元の大声援を受けたシリーヌ・ブクリ(フランス)が、あたかも「サリハニ」様の角度から侵入した左脚に横腰を支えられ、直近にある横転の危機を回避せんとしたがために最も避けがたい縦回転で宙を舞うこととなった準々決勝の「一本」。一瞬蹲踞の姿勢で完全に技を止めたバフードルジ・バーサンフー(モンゴル)が、止めたゆえの剛体ゆえに膝を屈した角田の脚にリフトされ、そして長い足指に挟まれて逃げ道をふさがれ、次いで襲った「送り出し」の足裏ムーブで縦に吹っ飛んだ決勝の「技あり」。いずれも出色だった。特に、典型的な「角田巴」だったバフードルジ戦のそれは、角田のキャリアの仕上げにふさわしい一撃だった。「学生カテゴリの好選手」に過ぎなかった彼女をここまで押し上げたこの技術こそ、金メダル獲得の決め技であるべきだった。

有料会員記事
【残り4,960文字 / 全5,510文字】

スポンサーリンク