
著者紹介:Aya
Xの人気アカウント「2025judo」を運営する、柔道ファン界隈きっての「見上手」。SNS投稿の紹介はもちろん、試合情報に関しても的確なピックアップとわかりやすい紹介が好評、ファンのみならず選手間でもよく知られる。代表選手の中には「これさえ見ていればツアーの流れがわかる」と、このアカウントをウォッチするためにXを始めた方もいるほど。
※「ケアシステム」=皆さんご存じの、審判用の試合動画録画・再生システム。技の効果や反則判定のチェックなどに使用されます。正式名称“CARE(Computer Aided Replay)システム”
バルガス=レイ大躍進
チリ出身で、現在はスペインのバレンシアを拠点に活動するメリー=ディー・バルガス=レイ(チリ)。 弾ける笑顔が印象的な彼女ですが、9月から10月にかけて開催されたワールドツアー直近3大会では、すべて表彰台に上がり、世界ランキングは一気に上昇。現在10位にまで躍進しています。
これまでに出場した大会は実に58大会。長い間、コーチもサポートチームも打ち込み相手すらいない状況で、ひとり遠征を重ねてきました。
そんな彼女がスペインに拠点を移し、コーチとともに大会を回るようになってから状況は一変。「ひとりじゃない、ということが本当に大きい」と彼女は語ります。
チリ柔道を切り拓き続ける“ラテンの闘士”メリー=ディー・バルガス=レイ。 彼女のこれからの活躍にも注目です。
彼女のことを紹介しているIJF記事リンクはこちら(外部リンク)
メリー=ディー・バルガス=レイ(チリ)
ベッランディ、苦難からの復活劇
2024年パリ五輪と翌年の世界選手権で優勝を果たしたアリーチェ・ベッランディ(イタリア)。彼女がTEDで講演を行い、その様子がTED公式Youtubeチャンネル「TEDx Talks」で配信されています。 TEDとは「Technology Entertainment Design」の略で、様々な分野の専門家による講演会を主催・配信する非営利団体。講演内容は技術やエンターテインメント、デザイン、科学、歴史、社会問題まで、多岐にわたるアイデアが共有されています。 講演で彼女は、栄光の裏に隠された苦悩を語りました。 2021年東京五輪前、世界ジュニア王者として15か月間ほぼ全大会に出場し、過酷な減量を繰り返すうちに心身を壊したとのことです。その中で家庭の不和やコーチとの決別があり、過食症、抜け毛、体調不良など身体に不調が出始めます。そんな孤独の中で「食べること」だけが彼女の心の拠り所になっていきました。20連敗を経て体重は90kgに達しましたが、再び立ち上がり減量に挑戦。最終予選で敗退するも、救済枠で東京五輪出場を果たします。 帰国後、環境を一新し、階級や指導陣を変えて再出発。「傷ついた自分を癒せるのは自分だけ」と気づき、心を整えることからやり直しました。結果がすべての世界で、人としての誠実さとバランスを学び、1年後には世界ランク1位、そして五輪、さらに世界王者に。 彼女を本当に強くしたのはメダルではなく、信じる力と、自分を受け入れる勇気だったといいます。 「困難を恐れないこと。最高のものは、いつだってその困難の中から生まれるのだから」
アリーチェ・ベッランディ(イタリア)
ジョージア・マスターズ開催
2025年ブダペスト世界選手権団体戦で優勝したジョージアで、男子マスターズ大会(いわゆるマスターズではなく、ジョージアの国内大会の名称)が開催されました。YouTubeでも配信されているので、興味のある方はぜひアーカイブでご覧ください。アーカイブはこちら(外部リンク)。
残念ながら90kg級のラシャ・ベカウリ、100kg級のイリア・スラマニゼ、100kg超級のグラム・ツシシヴィリら、世界選手権代表の重量級勢の出場はなし。しかし、その他の強豪選手たちが勢ぞろいし、迫力ある大会となりました。会場はやや狭いものの、超満員で、立ち見客があふれるほどの盛況ぶり。見ているこちらが少し心配になるほどの熱気でした。
なかでも注目は、81kg級で2025年ブダペスト世界選手権銀メダルを獲得したタト・グリガラシヴィリ。今大会では90kg級に挑戦し、決勝では2023年ドーハ世界選手権王者ルカ・マイスラゼと対戦。体力的に極限の戦いを制して、見事、優勝を果たしました。階級を上げてもなお勝ち切る――まさに恐るべき男です。
タト・グリガラシヴィリ(ジョージア)
ロンバルドは走り続ける
2018年に世界ジュニア王者となって以来、常にトップ戦線に立ち続けるイタリアの強豪マヌエル・ロンバルド。 このたび、イタリア柔道連盟(FIJLKAM)の公式パートナーでもある同国のエンジニアリング企業DBAグループと、2028年までのスポンサー契約を締結したようです。
今年のブダペスト世界選手権で日本の石原樹選手(JESエレベーター)と繰り広げた、壮絶な技の打ち合いも記憶に新しいロンバルド。彼の独特な柔道スタイルを、これからも見られるのが本当に楽しみです。
マヌエル・ロンバルド(イタリア)
ピノがPSGと契約更新
2024年世界選手権王者のマルゴ・ピノ(フランス)が、天下のPSG(パリ・サンジェルマン)と2026年まで契約を更新しました。アフリカ系選手の台頭が目立つフランスにおいて、ヨーロッパ系選手として一線で活躍を続けるピノ。
31歳になりましたが、まだまだ走り続けてくれそうです。期待しています!
マルゴ・ピノ(フランス)
ガリツカイアの大会前準備ルーティーン
2021年の世界ジュニア選手権でタイトルを獲得して以来、「そろそろ来る」と言われ続けながらも、シニア大会ではやや苦戦が続いていたロシアのクセニーア・ガリツカイア。今年7月のグランドスラム・ウランバートルで、ついに念願の金メダルを手にしました。
そんな彼女は、約10万人のフォロワーを持つ人気インスタグラマーでもあります。日々ストーリーを更新し、愛用のコスメやライフスタイルをシェア。おしゃれでセンス抜群の投稿は、見ているだけでも楽しくなるほどです。
今回は、試合前の計量をパスするまでの様子を動画で公開。うっすらと汗をにじませながらも、その過酷さをまったく感じさせず、清潔感と品のある雰囲気に包まれた映像に仕上がっています。彼女らしい美しい時間の切り取り方が印象的です。ぜひご覧ください。
クセニーア・ガリツカイア(IJF)
ルルのトラベル記
オーストリアの強豪ルビアナ・ピオヴェサナが、バカンスで訪れたメキシコでの美しすぎる思い出をシェアしてくれました。
ため息が出るほど美しく透き通った海の色が印象的で、まるで夢のような景色です。 世界遺産やビーチを満喫し、しっかりリフレッシュした様子のピオヴェサナ。グランドスラム東京では、彼女らしい豪快な大技がきっとまた決まることでしょう。
ルビアナ・ピオヴェサナ(オーストリア)
レスキの買い物ツアー
2025年パリ五輪金メダリストのアンドレヤ・レスキ(スロベニア)が、オーストラリアの多国籍小売業者家電量販店「ハーヴィー・ノーマン(Harvey Norman)」のブラックフライデー・プロモーション動画をシェアしてくれました。 日本でもよく見かけますが、柔道家がテレビや広告に登場するとき、試合ではなくても柔道衣を着せられることが多いですよね。どうやら海外でも同じようです。 11月末のブラックフライデーに向けて、割引クーポン付きの新カタログが公開されています。 気になる方は、ぜひ彼女のインスタグラムのリンクからチェックしてみてください!
アンドレヤ・レスキ(スロベニア)
関根聖隆の挑戦
現在、日本エースサポートに所属している関根聖隆選手。チダオバの世界選手権に出場するため、元総合格闘家で小見川道場・主宰の小見川道大氏とともに、ジョージアを訪れていました。
チダオバとはジョージアの伝統民族格闘技。投げ技中心であることや、ルール自体も柔道と似ている部分が多くあります。
小見川氏のInstagramストーリーでは、勝敗を問わず関根選手の試合の様子が逐一紹介され、見ているこちらまでワクワクさせられました。
海外に出て新しいことへ挑戦する経験は、間違いなくその後の人生にプラスになる——。そう信じている私にとって、この挑戦は本当に嬉しく、関根選手を応援していこうと心から思いました。
関根聖隆(日本エースサポート)
IJF公式プロフィール Instagram X(旧Twitter)
チダオバ世界選手権の優勝者は…?
関根聖隆選手も挑戦したチダオバ世界選手権には、そのほかにも各国の格闘家たちが参戦。
その猛者たちの中で優勝したのは……前日に行われたジョージアの国内大会、男子マスターズで銀メダルを獲得したサバ・イナネイシヴィリ(ジョージア)でした。
さらに翌日にはドイツへ移動し、ブンデスリーガの団体戦メンバーとして出場する姿も確認! まさかの3日連続大会参加という超人的スケジュールに、ただ驚くばかりです。
「どうか怪我だけはしないように」と思わずにはいられません。
サバ・イナネイシヴィリ(ジョージア)
今回は以上!
次回もよろしくお願いします!
スポンサーリンク







