
今回が初開催となった「IKAI Christmas CUP 全日本学生柔道男女混合団体大会」。国内で初めてIJF男女混合団体形式を採用した全日本大会であることのみならず、ライトアップや音響効果、MCの採用や「入場ゲート」の設置など演出面にも工夫を凝らし、ワールドツアー大会のような特別感を醸しだしていた。
初めて行われる大会に勇躍参加したチームの監督たちの声やいかに。参加のモチベーション、「男女混合」形式、演出面についてなど、参加チームの指揮官たちに感想をお聞きした。
日本大・金野潤監督

――今大会について
雰囲気が非常によく、とても楽しい大会でした。選手も観客も楽しそうでしたし、勝っても負けても笑顔のある大会というのは今までにない大会だと思いますし、男子と女子が一緒ということで、今までとは違う空気感でしたね。
――監督も楽しんでいましたね?(サンタ帽をかぶって入場)
学生(女子)からかぶってと言われましてね(笑)。おじさん、おばさん(北田典子・女子監督)も頑張りました(笑)。試合は準決勝で敗れたわけですが、選手の入場の際には名前もコールされて、みんな嬉しかったと思いますよ。そんな経験はないわけですから。

――日本大は、男女練習場所も異なりますよね?
道場はかなり離れていますので、交流する機会というのは、普段はほとんどない。今回お互いに、純粋に応援し合う姿を見て非常にいいなと思いましたし、単純に楽しそうだなと思いました。
――大会のメンバーはどのように決めたのですか?
(男子は)上から声を掛けていって、「出たい」といった選手でメンバーを組みました。こんなに面白い大会だったら俺も出たいと思う選手はたくさんいると思いますね。勝負だから、勝つことが第一義にくることは間違いないのですが、流す音楽の選曲ひとつとっても、非常に楽しい雰囲気になっていましたし、DJや演出、「クリスマスカップ」のネーミングも素晴らしかったと思います。これからどう進化していくか楽しみですし、この大会を立ち上げるにあたり尽力して下さった穴井先生、また伊海社長には、本当に感謝しています。第1回大会は大成功、日本柔道界にとって歴史的な大会と言えると思います。
国士舘大・塘内将彦監督

――直前に登録メンバーを入れ替えたと聞きます
出るからにはやはり優勝を目指す、ということで12月になってエントリー4名を入れ替え。強化選手を入れて、フルメンバーで臨みました。男女で一緒に戦うのは今回初めてでしたが、力を合わせて戦うというのは、非常に良いのではないかと思いました。
――出てみて、いかがでしたか?
選手は本当によく頑張ってくれました。あとは演出ですね。こういう形で柔道界が盛り上がって行けばいいかなとは思います。選手はびっくりしていましたけど(笑)、選手たちのテンションも上がって、モチベーションという部分では非常に良いと思います。(―ゲートを潜って、国士舘は全員で『礼』でした)やはり柔道は礼に始まって礼に終わるということで。畠山(凱)だけは直前に「運営の方からお願いされたので、ちょっといいですか?」とサンタ帽をかぶっていましたけど(笑)
――選手にどう声をかけましたか?
試合が終わったばかりで、声掛けはこれから。やはり勝ったり負けたりがあるものですから。しっかり課題を把握して、見つめ直して、ひとつひとつ克服していくということが何より大事。この経験を次の成長に繋げていこうという話はしていきたいと思います。
明治大・中濱慎吾監督

――大会出場の経緯は?
まず今年女子が1人入って来たこと。もちろん男子はいるのでどうしようかなというところでしたが、実行委員長の穴井先生の方から声を掛けて頂いたことが大きかった。4人全員勝てば勝ち上がれますし、1人負けても3人勝てば代表戦に持ち込めますから。経験するという意味も踏まえて、今回出場させて頂きました。
――振り返って、いかがでしたか。
普段の練習ではない緊張感とか、絶対に勝たなければいけないプレッシャーとか、色々なものが味わえたので、プラスにはなったと思います。他の大学がどれくらいのレベル感で出てくるのかわからなかったこともあり、うちは経験重視で3年生以下でやろう、という形で臨みました。東海大戦では片山がいい形で勝利しましたし、自信になったと思います。みな課題だらけですが、総じて良い経験、良い大会だったなと思います。
――演出面などでも、普段とは少し毛色の違った大会でした。
学生のために本当に盛り上げてくださって。穴井先生にも伊海社長にも、本当に感謝しかないですね。皆さん色々なパフォーマンスを考えていて、うちはちょっと人数が少ないのもあって、そこまで頭が回らなかった。次回はまた色々考えていきたいと思います(笑)
近畿大・山下まゆみ監督

――今大会の感想を
大会の雰囲気も非常に良くて、選手たちも試合に出ること自体を楽しんでくれていたなと思います。(―事前の選手紹介の動画も評判、入場も初日から工夫を凝らしていました)穴井先生が色々な演出を考えて頑張っておられましたし、せっかくなので私たちも何か楽しいことをしようと。私たちが盛り上げられるのはまず試合自体、そして入場、こういうところですよね。(―穴井実行委員長も「近大、やるな!」と仰っていました)ありがたいですね(笑)。第1回ということですし、他の全日本学生大会ではこういうことは味わえないですし、学生たちも普段出来ないことをやって、いい経験になったなと思います。
――男女で戦うのは滅多にない経験。
普段は道場も別で、特に交流があるわけではないのですけど、授業などで普段会うのでしょうね。仲良くしていました。私は一応監督をさせてもらったわけですが、学生には「男子に迷惑かけたらとか、女子に迷惑かけたらとか、そんなことはもう一切思わなくていいから、とにかく出せるもん出し切って行こう。楽しんだもの勝ちやし!」と話しました。他の大会では、「楽しむ」と口では言ってもなかなか出来ないじゃないですか。この大会だからこそ、出来ることを、楽しんでほしいなという気持ちでした。
――演出面はいかがでした?
私は選手が羨ましいなと思いましたよ。いま、色々なスポーツが華やかな演出を取り入れている。一般の方が「柔道も楽しいんやな!」と見てくれることも大事だと思いますし、そこには演出も大きな力になれるはず。きょう見に来られた子どもたちも「柔道いいな、楽しいな」と思ってくれたかもしれない。柔道はどうしても暗い、しんどい、辛いみたいなイメージがあると思うんですけど、楽しいという部分も見えたのではないなと思います。
――男女混合大会の意義、どう感じられますか?
男女どちらかしか柔道部がなかったり、あってもうちみたいに活動が別々なところも多いと思いますが、同じ大学の名を背負って、1つのチームで、男女が一緒に協力し、支え合って頑張るというのはすごく良いこと。学生柔道にとっても素晴らしいことだと思います。私たちが男子を直接応援出来ることも今まではあまりなかったですし。すごく良かったなと。そして感想は何より「楽しかった」ですね!
東北福祉大・五戸芳監督

――長駆、東北地区から唯一の参加でした
そんなに強いチームではないので、物凄く機会が多いわけではない。少しでも多く試合を経験させてあげたいという思いで参加を決めました。第1回ですし、出場された大学さんも決めるまで色々タイミングがあって、どこが、どのくらい出場するのか読めない部分もあったのですが、経験はなにより大事。うちは男女両方部員がいますし、練習も一緒にやっている。チームで一致団結、まとまって出られる経験は非常にありがたい。大会を通じて親睦を深められるなという思いもありました。そういったことで、少し遠いんですけど、参加させて頂きました。
――出てみて、いかがでしたか?
普通の全国大会と少し雰囲気が違って、皆さん凄く楽しそうにはやられているのですが、もちろん勝負になるとすべてのチーム、すべての選手が真剣。非常に面白い大会でした。
――演出面なども、普通の大会とは違う。
楽しかったですね。私は「入場ゲートがある」とまでは知っていましたけど、こんなに本格的なものであることは会場に来てみて初めて知りましたし、そもそも知らなかった選手たちは「え?何するんだろう」とびっくりしていました。(―初日、大学名を呼ばれて入場するときに、選手たちがひときわいい顔をしているチームだな、と思いました)2日目も、恥ずかしがりが多いながら色々考えていました(笑)。みな楽しんだようです。なかなか来る機会のない沼津にも来れましたし、旅も含めていい経験になったかと思います。
――来年に向けて、なにかこうしてくれたら出やすい、ありがたい、楽しい、などありますか?
ゲートとか、かっこいい会場とか、先にイメージできれば選手たちももっと考えて頑張ると思います(笑)。大会に向けてすこしそういう面を考えたり、練習したりする時間も楽しめるのではないかなと。来年、世代は変わりますが男子も女子もそれなりの人数がいますから、一生懸命練習して、強くなってまたぜひ出たいと思います。
中京大・三宅恵介監督

――初めての大会、出場してみていかがでしたか?
会場自体の雰囲気が、日本の国内の大会とは全然違う。もちろん自分は物凄く楽しませて頂きましたが、なにより学生たちにとっても物凄く有益な大会だなと肌で感じているところです。これからもこの盛り上がりのまま続いて欲しいですね。試合となるとどうしてもみな緊張して硬くなってしまうのですが、今回は「クリスマスカップ」というネーミングがあり、指導者としてもうまく引っ張りやすかった。強豪チームと戦う時にも、いつも以上に力が発揮できるような雰囲気になっていたと思います。この試合に出たい、という選手がこれからもいっぱい出てくるでしょうね。演出面も良かった。見に来ている子どもたちに「やってる人たちは楽しそうだな」と伝わることが、今の日本の柔道には凄く大事だなと思っています。こういう風に演出面もこだわって、優勝が決まるような試合だけでなく1試合1試合を大事にするような大会、もっと増えると嬉しいですね。
――中京大学、男子と女子の練習環境は?
練習場は一緒で、それぞれに指導者がいるという形を採っています。練習メニューによって、分けたり分けなかったり、一緒にやったり、メニューが違うときにも女子が男子を捕まえて練習したり。そういう感じですね。今回も自然と、いい雰囲気でやれたと思います。
――来年も出られますか?
そうですね。なんとかベスト8に上がって、時之栖(ときのすみか)さんにお泊り出来ることを目標に頑張りたいと思います。(編集部註:ベスト8以上のチームは次年度参加時「御殿場高原 時之栖」に招待とのこと)
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