
戦前の「高専柔道」の系譜を継ぐ第75回全国七大学柔道優勝大会(通称「七帝戦」)が、7月4日から5日まで福岡武道館で開催され、男子は東京大が53年ぶりの優勝、女子は東京大が2連覇を果たした。
男女それぞれのレポートは下記。
男子
15人制の抜き試合で争う男子。初日は準決勝進出をかけた戦いとなる。
東京大と北海道大の対戦は、東京大が序盤で2点をリードするも、5連覇を目指す北海道大が副将戦で追いつき、大将決戦に。北海道大の池田凰汰が東京大・渡邉碧紀を8分の試合時間の残り1分を切ってから崩上四方固に抑え込んで一本勝ち。1人残しで準決勝に進んだ。
京都大と大阪大の対戦は、大阪大1人リードで迎えた中盤、京都大・七将の八田浩太朗が3人を抜いて逆転。最後は京都大三将の富沢竣が阪大大将の1年生兼松佑岐を抑え込み、3人残しで準決勝進出を決めた。
名古屋大と東北大は去年に続いて初戦で対戦。14人で挑んだ名古屋大は先鋒が不在。、東北大は先鋒の松本虎太朗が不戦勝を含む4人抜き。さらに三鋒の黒岩昴も2人を抜くなど序盤から大量のリードを得る。名古屋大は副将に入ったエースの原優慈が3人、大将の石田康次朗が1人を抜き返したが、反撃もここまで。東北大が4人残しで勝利した。
主管校の九州大は、敗者復活戦で東京大学と対戦。東京大が鈴木紳太郎の3人抜き、石野一天の2人抜きで有利に試合を進め、九州大を5人残しで破った。敗れた九州大は、もう一つの敗者復活戦の勝者と対戦することに。
そのもう一つの敗者復活戦は大阪大と名古屋大が対戦。大阪大は先鋒・平野稜馬が不戦勝を含む3人抜き。さらに五鋒に入った主将の水戸岡孝太が4人抜き、六鋒の井上聖也が2人抜きと圧倒的にリードする。名古屋大は六将に据えられた主将の白川春喜が1勝を返すも、8点差の劣勢を強いられる。しかしここから名古屋大副将の原優慈が猛反撃。立技寝技を駆使して5人抜き、6人目と引き分けという大仕事を果たす。さらに名古屋大は大将の石田康次朗が大阪大の大将まで4人を抜ききり、大逆転。名古屋大学が記録的な逆転劇を演じ、1人残しで敗者復活2回戦に進んだ。
敗者復活2回戦は名古屋大と九州大が対戦。九州大が序盤から「1人抜いて次と分ける」セオリー通りの戦術で着実にリードを広げる。名古屋大は頼みの綱の原、石田が連戦の疲れでこの試合では石田の1人抜きのみにとどまり、九州大が7人残しの大勝。準決勝進出をかけて、再び東京大と相まみえることになった。
2日目は、東京大対九州大からスタート。
東京大は三鋒・佐藤尚哉が1人抜き、さらに五鋒に出た主将・白野嘉生が1人抜きとリードするが、九州大も七将の中村聡志が抜き返し接戦に。最後は東大の副将・西村虎太朗が九州大大将・立野剛資を送襟絞で破り、2人残しで準決勝進出を果たした。
準決勝は北海道大対京都大、東北大対東京大となる。
北海道大先鋒の1年生平将太朗が先制するも、京都大は次鋒に出た主将の森海がすかさず抜き返しタイに。北海道大は四鋒に主将の佐藤輝英、五鋒に大野太郎と前日得点をあげた大型選手を置くも、それぞれ京都大4年の泉賢人、牛澤志進と当たり、抜けず。逆に京都大は中堅に出場した八田浩太朗が1人を抜いてリード。試合はそのまま京都大リードのまま進み、三将に出たエース妹尾淳伸が176センチ、109キロの体躯を生かして2人抜き。京都大が北海道大の5連覇を阻み、決勝に進んだ。逆のブロックから決勝に勝ち上がったのは東京大。準決勝では東北大と対戦。前日の名古屋大戦で活躍した松本虎太朗の2人抜きで、一時は2人差をつけられるが、そこから鈴木紳太郎、植田靖啓、石野一天がそれぞれ相手の下級生を抜いて次と分けるパターンで逆転。最後は副将の川名一成が、東北大大将アドリアン ロビンに送襟絞で一本勝ち。粘る東北大を振り切って、決勝進出を決めた。
京都大が勝てば平成30年以来8年ぶり、東京大が勝てば昭和48年以来実に53年ぶりとなる決勝。
いきなり先鋒戦で試合が動く。開始15秒、京都大の南井英明が引き込むところに、東京大の1年生武内龍歩がタイミング良く大内刈を放てば、これが豪快に決まり「一本」。武内は次の試合もしっかり分け、東京大が1点リードして試合が進む。
東京大はさらに六鋒に出た抜き役の鈴木紳太郎が着実に1人抜き。リードを広げる。初戦と準決勝で勝ち星をあげた京都大の抜き役八田浩太朗は、東京大抜き役の石野一天と当たり引き分け。
緊迫した試合が続く中、京都大は副将に座った切り札、妹尾淳伸が登場。得意の縦返しの連続攻撃で攻め立て、東京大の北村颯介、白野嘉生を抜き去る。東京大は、抜き役の一人富澤新太郎が慎重に対処。妹尾を止めて、勝負の行方は大将戦に委ねられる。
京都大大将の野原颯一郎は1年生、東京大大将の山﨑智史は2年生。どちらも責任の重さを感じて慎重な試合運び。中盤山﨑が大内刈で「技あり」を奪い、足抜きの態勢に持ち込むが決めきれず。再び立技の攻防となり、残り時間わずか。このまま延長戦かと思われた瞬間、山﨑が意を決して放った内股が「技あり」。この時残り時間は僅か数秒、合技の「一本」が宣されて、東京大の53年ぶりの優勝が決まった。
順位と準決勝以降の対戦詳細は下記。
【成績】
優 勝:東京大学
準優勝:京都大学
第三位:東北大学、北海道大学
【試合結果】
【準決勝】
京都大〇3人残し△北海道大
(先鋒)稲葉悠晃△崩上四方固〇平将太朗(先鋒)
(次鋒)森海〇送襟絞△平将太朗(先鋒)
(次鋒)森海×引分×福田祥太(次鋒)
(三鋒)南井英明×引分×角野智也(三鋒)
(四鋒)泉賢人×引分×佐藤輝英(四鋒)
(五鋒)牛澤志進×引分×大野太郎(五鋒)
(六鋒)木船恭佑×引分×西澤晴太(六鋒)
(七鋒)上野陸登×引分×渡辺開陽(七鋒)
(中堅)八田浩太朗〇袖車絞△小野良仁(中堅)
(中堅)八田浩太朗×引分×池田凰汰(七将)
(七将)田仲慶伍×引分×本宮大睦(六将)
(六将)中谷誠司郎×引分×佐藤仁教(五将)
(五将)中村航×引分×今井康彰(四将)
(四将)堀田和暉×引分×久我尚道(三将)
(三将)妹尾淳伸〇合技△新野秀拓(副将)
(三将)妹尾淳伸〇横四方固△粟国哲平(大将)
(副将)富沢竣
(大将)野原颯一郎
東京大〇2人残し△東北大
(先鋒)渡邉碧紀△送襟絞〇高橋直大(先鋒)
(次鋒)佐藤尚哉×引分×高橋直大(先鋒)
(三鋒)富澤新太郎〇横四方固△鶴見純眞(次鋒)
(三鋒)富澤新太郎×引分×金野良亮(三鋒)
(四鋒)吉野翔太×引分×秋山太郎(四鋒)
(五鋒)小柳太一朗△横四方固〇松本虎太朗(五鋒)
(六鋒)松永悦司△送襟絞〇松本虎太朗(五鋒)
(七鋒)中井陸人×引分×松本虎太朗(五鋒)
(中堅)鈴木紳太郎〇腕緘△近藤洋太朗(六鋒)
(中堅)鈴木紳太郎×引分×西野拓実(七鋒)
(七将)植田靖啓〇崩袈裟固△高橋俐玖(中堅)
(七将)植田靖啓×引分×黒岩昴(七将)
(六将)阪上敬朗×引分×田﨑康太(六将)
(五将)北村颯介×引分×山本涼介(五将)
(四将)石野一天〇横四方固△三代雅人(四将)
(四将)石野一天×引分×青木滉明(三将)
(三将)白野嘉生×引分×上出雅大×(副将)
(副将)川名一成〇送襟絞△アドリアン ロビン(大将)
(大将)西村虎太朗
【決勝】
東京大○1人残し△京都大
(先鋒)武内龍歩○大内刈△南井英明(先鋒)
(先鋒)武内龍歩×引分×木船恭佑(次鋒)
(次鋒)川名一成×引分×森海(三鋒)
(三鋒)佐藤尚哉×引分×泉賢人(四鋒)
(四鋒)小柳太一朗×引分×牛澤志進(五鋒)
(五鋒)吉野翔太×引分×中村航(六鋒)
(六鋒)鈴木紳太郎〇崩上四方固△稲葉悠晃(七鋒)
(六鋒)鈴木紳太郎×引分×中谷誠司郎(中堅)
(七鋒)阪上敬朗×引分×田仲慶伍(七将)
(中堅)西村虎太朗×引分×上野陸登(六将)
(七将)中井陸人×引分×富沢竣(五将)
(六将)石野一天×引分×八田浩太朗(四将)
(五将)植田靖啓×引分×堀田和暉(三将)
(四将)北村颯介△横四方固〇妹尾淳伸(副将)
(三将)白野嘉生△横四方固〇妹尾淳伸(副将)
(副将)富澤新太郎×引分×妹尾淳伸(副将)
(大将)山﨑智史○合技△野原颯一郎(大将)
女子
3人制の勝ち抜き戦で行われた女子は、北海道、東北、東京、名古屋、京都、九州大の六大学が参加。男子と同じく初日は準決勝進出をかけて争われ、京都大、東京大、北海道大、九州大がベスト4進出。京大は1年木﨑香歩1名のみの出場ながら初戦3人抜きで名古屋大を下した。北海道大は昨年2位の九州大に、大将の1年遠藤和々が逆転の2人抜きで勝利するなど、1年生の活躍が目立った。
続く準決勝戦、昨年優勝の東京大が危なげなく3人残しで京都大に勝利。逆の山では初戦カードの再戦、九州大2年伊藤聖菜が2人抜きで北海道大に勝利。九州大は初戦を落とすも敗者復活戦からの3連勝で決勝進出。なお、三位決定戦は北海道大が勝利した。
決勝は昨年1位東京大と2位九州大の対戦に。東京大が抜き役の主将中山由惟を先鋒に据えて勝負に出るが九州大・伊藤聖菜がしっかり守り切る。中堅戦・大将戦も東京大・乾瑛里子、陳際諾がそれぞれ優勢に試合を進めるものの九州大・藤永みなみ、松本千櫻が極めを許さず引き分け、勝負は代表戦へ。主将同士の代表戦、東大・中山が九州大・藤永の引き込みを捌き頭側から密着し圧力をかけ続け、横四方固に捉えて2分41秒一本勝ち。見事2年連続7回目の優勝を達成した。
順位と結果は下記。
【成績】
優 勝:東京大学
準優勝:九州大学
第三位:北海道大学
【決勝】
東京大学〇代表戦△九州大学
(先鋒)中山由惟×引分×伊藤聖菜(先鋒)
(中堅)陳際諾×引分×藤永みなみ(中堅)
(大将)乾瑛里子×引分×松本千櫻(大将)
(代表戦)中山由惟○横四方固△藤永みな
スポンサーリンク