【直前プレビュー】プールAにフイ、スクット、アブジャキノワが詰め込まれた「死のブロック」が出現。古賀若菜は戦いやすい組み合わせ、初優勝の視界は良好/バクー世界選手権2026 女子48kg級

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※組み合わせ:公式サイト
※こちらの記事を前提とした内容です。併せて読むことでよりお楽しみいただけます。

見どころ

シード予想からの、シード選手配置の変更はなし。

シード外の有力選手のうち、昨年大会ファイナリストのアッスンタ・スクット(イタリア)とアビバ・アブジャキノワ(カザフスタン)は揃ってフイ・シンラン(中国)が第1シードに座るプールA上側の山を引いた。まずフイとスクットが初戦(2回戦)で激突、その勝者が3回戦でアブジャキノワとベスト8進出を懸けて争うことになる。この中で順位決定ラウンドに進めるのは僅か1人。さらにこの山にはエバ・ペレス=ソレル(スペイン)とメルヴェ・アザク(トルコ)までもが配されており、誇張抜きの「死のブロック」となっている。

他の山はある程度の強豪の偏りはあるものの、概ねバランス良く、勝ち上がり候補の配置が分かれた印象。シード外に漏れていた2024年世界選手権王者のバフードルジ・バーサンフー(モンゴル)は、パリ五輪銅メダリストのタラ・バブルファス(スウェーデン)とともにマリア=セリア・ラボルデ(アメリカ)がシードを務めるプールC下側の山に配された。

バフードルジはパリ五輪後に長期の休養に入り、結婚と出産を経て復帰したばかり。世界選手権までの復調は難しいかと思われたが、順調に調子を上げ、少なくとも強豪の1人という立場で今大会を迎えるに至った。もともと大舞台に強く、爆発力もある選手。今大会でどのようなパフォーマンスを見せるのかに注目したい。

悲願の初優勝を狙う古賀若菜(JR東日本)は第6シード。同じ山にはアンバル・ヘルシェス(オランダ)がいるのみでトップ層はおらず、準々決勝の相手も柔道に癖のないサビーナ・ギリアゾワ(ロシア)という組み合わせ。前述のプールA上側の山と比べれば天と地ほどの差がある、戦いやすい当たりを引いた。順当ならば準決勝にもこれまで3勝0敗と得意としているラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)が上がってくると予想され、よほどのアクシデントがない限り、決勝進出は視界良好だ。

有力選手の配置、勝ち上がり予想は下記。

勝ち上がり予想

(エントリー38名)

【プールA】

フイ・シンラン(中国)
フイ・シンラン(中国)

第1シード:フイ・シンラン(中国)
有力選手:アッスンタ・スクット(イタリア)、アビバ・アブジャキノワ(カザフスタン)、メルヴェ・アザク(トルコ)、エバ・ペレス=ソレル(スペイン)

今大会屈指の「死のブロック」。ただし、勝ち上がり自体はシード選手のフイで堅いと予想する。スクットは不調からまだ完全には復活し切れておらず、対戦成績もフイが2勝0敗と勝ち越している。また、アブジャキノワも僅か4日前にアジア競技大会で決勝まで戦っている。間違いなくその疲労が残っており、そもそも柔道が手堅く相性の良くないフイに勝利するのは難しいだろう。

第8シード:ジャムスラン・アヌダリ(モンゴル)
有力選手:クラリス・ヒベイロ(ブラジル)、ガブリエラ・ナルバエス(パラグアイ)

19歳のジャムスラン・アヌダリ(モンゴル)と18歳のクラリス・ヒベイロ(ブラジル)、2024年世界カデ選手権で決勝を争った若手有望株2人が同じ山、それも初戦(2回戦)で対戦する位置に配された。この山は最も強豪の密度が薄く、トップ層は不在。この両者のいずれかの勝ち上がりが濃厚だ。戦力は拮抗も、ここでは最近のパフォーマンスと直接対決のスタッツ(ヒベイロの1勝0敗)から、ヒベイロの勝ち上がりを推したい。

【準々決勝】

フイ・シンラン(中国)  ― クラリス・ヒベイロ(ブラジル)

フイの勝利が濃厚と予想する。ともにベースは粘戦ながら、地力、精度ともにフイが頭一つ上回っている。ヒベイロとしては得意の組み手と逆の左大内刈に勝機を見出したいところだが、そもそもが姿勢の低いフイをこの技に嵌めるのは困難だ。

【プールB】

シリーヌ・ブクリ

第4シード:ジュアン・ウェンナ(中国)
有力選手:シャファグ・ハミドワ(アゼルバイジャン)、マリーナ・ヴォロベワ(ロシア)

ジュアン・ウェンナ(中国)とマリーナ・ヴォロベワ(ロシア)の一騎打ち構図。力は競っているが、ジュアンの勝ち上がりと予想する。ヴォロベワは8月末のグランドスラム・ローザンヌを制して勢いに乗っているが、柔道は地力ベース。6月のグランプリ青島での対戦を見る限り、この点ではジュアンに分があるように思われる。

なお、ジュアンが2回戦で対戦する位置には大物食い属性を持つシャファグ・ハミドワ(アゼルバイジャン)が配されている。両者をともに倒して上位に勝ち上がる可能性は低いが、今大会は地元開催。大観衆の声援の後押しを受けて持ち前の爆発力にブーストが掛かる可能性もあり、こちらも気に掛けておきたい。

第5シード:シリーヌ・ブクリ(フランス)
有力選手:カタリナ・コスタ(ポルトガル)

シリーヌ・ブクリ(フランス)の勝ち上がりと予想する。最近も変わらずパフォーマンスが安定しないが、対抗馬のカタリナ・コスタ(ポルトガル)には過去4勝0敗と勝ち越しており、遅れを取る可能性は低い。

【準々決勝】

ジュアン・ウェンナ(中国)  ― シリーヌ・ブクリ(フランス)

両者の勝利の確率は同程度と予想する。強さ自体ではブクリが勝っているが、試合の中で突如崩れることが多く、ともに接近戦型で相性的にも事故が起こりやすい。そもそもの力も競っており、ジュアンが勝利する可能性も十分にあると考えたい。ここでは純戦力に勝るブクリの勝利と予想する。

【プールC】

ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)
ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)

第2シード:ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)
有力選手:ツグジェ・ベデル(トルコ)、ウルブシン・ハキモワ(ウズベキスタン)、ザラ・イシュト(ドイツ)

マルティネス=アベレンダの勝ち上がりが濃厚。唯一対抗馬となるのはツグジェ・ベデル(トルコ)だが、対戦成績は3勝1敗。昨年来のマルティネス=アベレンダの安定した充実ぶりを考慮しても、敗れる可能性は低い。

第7シード:マリア=セリア・ラボルデ(アメリカ)
有力選手:タラ・バブルファス(スウェーデン)、ガリヤ・ティンバエワ(カザフスタン)、リン・チェンハオ(台湾)、バフードルジ・バーサンフー(モンゴル)

プールA上側の山に次ぐ過密ブロック。見どころで触れたラボルデとバフードルジ、バブルファスに加え、ガリヤ・ティンバエワ(カザフスタン)とリン・チェンハオ(台湾)までもが詰め込まれた。様相は混戦。リンは一段力が落ちる印象だが、残りの4人は誰が勝ち上がってもおかしくない。予想は難しいが、ここでは直前に行われたグランドスラム・ハンガリーで好パフォーマンスを見せたバフードルジ勝ち上がりと予想したい。

【準々決勝】

ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン)  ― バフードルジ・バーサンフー(モンゴル)

マルティネス=アベレンダの勝利と予想する。バフードルジは調子を上げてきているが、昨年来好調、一段力を増した印象のマルティネス=アベレンダに勝利出来るところまでは戻せていないと予想する。とはいえ、直接対決ではバフードルジが4勝0敗と一方的に勝ち越しており、相性の有利はこちらにある。バフードルジが想定されるペースを上回って復調していた場合には、勝利の可能性もあるだろう。

【プールD】

古賀若菜
古賀若菜

第3シード:サビーナ・ギリアゾワ(ロシア)
有力選手:パトリシア・トマンコワ(スロバキア)、ロイス・ペティ(ベルギー)、メリー=ディー・バルガス=レイ(チリ)、コヌル・アリエワ(アゼルバイジャン)

シード選手のギリアゾワの勝ち上がりが濃厚。対抗馬になるような選手はいない。

第6シード:古賀若菜(JR東日本)
有力選手:ホー・ロクイー(香港)、アンバル・ヘルシェス(オランダ)

シード選手の古賀の勝ち上がりが濃厚。ただし、ヘルシェスは今年好調。ワールドツアー2大会で決勝に進出し、そのうちグランドスラム・カザフスタンで優勝するなどキャリアハイの成績を残している。古賀の技術力であれば遅れを取る可能性は限りなくゼロに近いが、力勝負に持ち込まれないよう、組み手を厳しくリスク管理を徹底したい。

【準々決勝】

サビーナ・ギリアゾワ(ロシア) ― 古賀若菜(JR東日本)

古賀の勝ち上がりと予想する。意外にも両者は初対戦。ゆえに展開が読みがたい部分があるが、ギリアゾワの柔道は外連味のないストレートなパワー系内股スタイルのため、それほど戦いにくくはないはず。「引き手クロス」からの背中抱きにだけ注意したい。

【準決勝】

フイ・シンラン(中国) ー シリーヌ・ブクリ(フランス)

ブクリの勝利と予想する。フイは密着系のパワー派を比較的苦手としており、今年2月のグランドスラム・パリでもブクリが右釣込腰「一本」で勝利している。ただし、ブクリは前述の通り試合中にも調子が乱高下することがあり、この不安定さが出た場合にはフイが勝利すると予想する。

ラウラ・マルティネス=アベレンダ(スペイン) ― 古賀若菜(JR東日本)

古賀の勝利が濃厚。見どころでも述べた通り、対戦成績は3勝0敗。柔道が噛み合い、かつマルティネス=アベレンダは一発があるタイプでもないため、事故の可能性も限りなくゼロに近い。

【決勝】

ブクリと古賀はこれまで8度対戦。(写真は2024年GSパリ)

シリーヌ・ブクリ(フランス)  ― 古賀若菜(JR東日本)

これまで8度対戦しているライバル対決。相性の有利はブクリにあり、これまでも5勝3敗と勝ち越している。ポイントは釣り手による間合いの争い。古賀が左、ブクリが右組みのケンカ四つのため、ブクリは得意の背中を抱き込む形を作りやすく、これまでの対戦では古賀は接近戦に苦しめられてきた。ブクリがここまで勝ち上がってきた場合には調子も良いと思われ、相性からドライに予想するならばブクリを推さざるを得ない。とはいえ、あくまでも実力は競っている。古賀も当然対策を積んできており、釣り手による間合いの管理を徹底出来た場合には、反対に古賀が勝利すると予想したい。

なお、純戦力では古賀が全選手の中で頭一つ抜けており、唯一相性的にブクリが苦手という構図となっている。仮に他の選手が勝ち上がってきた場合には、それが誰でも勝利出来るはずだ。

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