【eJudo’s EYE】記者の目・普及のトップに就任、井上さんが目指すのは「カルチャー」を変えること

eJudo’s EYE(コラム)/記事
  1. ホーム
  2. eJudo’s EYE(コラム)
  3. 【eJudo’s EYE】記者の目・普及のトップに就任、井上さんが目指すのは「カルチャー」を変えること

(2021年9月22日)
→ニュース記事へ

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

井上康生氏。普及統括部署を率いることになった。

まず「ブランディング戦略推進特別委員会」。リリース・各種報道は情報の多さゆえ何が起こったかかえってわかりにくくなってしまっているのだが、つまりは「普及・マーケティングの専門部署」を立ち上げ、そのトップに就いたのが井上康生さんだということだと解釈する。“各専門委員会の所管事項を横断的に調整する必要がある”と設置の理由を明記してあるから、普及(という言葉で括り切れない思いが「ブランディング」というネーミングに現れているのだと思う)戦略の統括部署であると考えていいだろう。

まずもって大歓迎である。普及の手立て数あれど、そして同時多発的に複数の柱を打ち立てる必要確実にあれど、角度バラバラの縦割りで何かをやっても狙い定まらぬ豆鉄砲にしかならない。また、多くの人が誤解しているのだが、実は「人数を増やす」という現象自体は単なるプロセスであって、この単なる“手段”を”目的”にしてしか動けない、またそれを当然と捉えている世界は脆弱で、ちょっと歪んでいる。我が業界が作り上げたいものは何なのか、皆が何を目指して動けばいいのか。この「何を目指して」「どう動くべきか」を統括する普及戦略のブレインという、実は最も必要でついぞなかった中核システムが、柔道界がもうこれ以上失敗出来ない土俵際のタイミングになってついに立ち上がったということだと思う。部局の誕生自体も、この状況(一種強権をもってでも既存の価値観を変えていかねばならない状況)の中にあってそのトップが日本柔道のアイコンであり知性派の代表格であり業界をまたいでファンの信頼極めて厚い井上さんになったことも、大歓迎である。

「カルチャーを変える」という井上さんの言葉を考える

有料会員記事(無料会員の方も月3本までお読み頂けます)
【残り3,642文字 / 全4,436文字】

スポンサーリンク