文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta
男子73kg級
苦労人ヘイダロフ、感動的な戴冠
柔道どころアゼルバイジャンから、実に久々の世界王者誕生。ヒダヤット・ヘイダロフの戴冠は感動的だった。ヘイダロフが苦労人であること、ツアーでその「苦労」と成長を共有出来たこと(いい時代だ)がまた、感動の値を上げた。ヘイダロフは既に世界選手権のメダルを得ながら、国民的なスターであるルスタン・オルジョフに押し出されて、一時は81kg級に戦場を変えていた選手である。出戻りだ。強かったが、どこまで行っても徹底的に2番手扱いだった。風貌も、目をギラリと光らせて周囲を睥睨する、あの相手を催眠術に掛けるかのようなオルジョフとはまったく違って、ちょっと緩め。怒気も喜びも表情に露わで、人懐っこい。駅前に座り込む旅人のような長髪から坊主頭に改め、また伸ばすという髪型の移り変わりにさえ、どこか「1.5番手感」がぬぐえなかった。
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