
高校生の夢舞台、全国高等学校柔道選手権大会の開幕がいよいよ4日後、19日(水)に迫った。
コロナ禍後の新制度「前年度ベスト4を自動的にシード」が今年も組み合わせの偏りを生み、さらに同じくコロナ後に「抜き勝負」に替わって採用された「配列順変更ありの点取り制」が、予想を極めて難しくした。組み合わせは当代の実力に関わりなくシャッフルされ、強豪同士による早い段階の潰し合いが常態化。そして「誰が取っても1点」の点取り制と作戦の立てにくい自由配列制の同時採用は、総体的には力の差が出にくくなる方向に働く。加えて、団体戦が個人戦の翌日という大会日程がかなりの不確定要素。強い選手であればあるほど個人戦で勝ち上がり、試合数をこなし、消耗して団体戦を迎えることになる難しさがある。個人戦の勝ち負けが、単なる疲労を超えて選手のマインドセットに大きな影響を及ぼすことはファンの皆さんがこれまで見て来たとおり。優秀なポイントゲッターであればあるほど団体戦では機能しにくいという矛盾があるのだ。高校選手権団体戦は、「純戦力」から見立てが立てやすかったかつてと属性ががらりと変わり、予想が極めて難しいカテゴリとなった。そもそもが「波乱」を孕んだレギュレーションの大会なのだ。
しかしそれでもこの状況を超えて、今年は絶対の強者がいる。埼玉栄高(埼玉)と、東海大相模高(神奈川)だ。この2校は準々決勝で直接対決。「勝った方が優勝」と言ってしまってもいいだろう。
文責:古田英毅・eJudo編集部
有力校
埼玉栄と東海大相模、「2強」が戦力で他を圧する

埼玉栄は前代の「高校三冠」チーム。その最強代にレギュラーとして参加、頂点取りに貢献した渡邊蒼織が今代のエースを張る。身長182センチ体重118キロの偉丈夫。内股や大外刈に加えて袖釣込腰や巴投、片手からの肩車もこなすオールラウンダーだ。得点力の高さはもちろん、誰を相手にしても手詰まりがないこの手札の多さが最大の特徴。当代きっての抜き役でありながら「強い相手との戦い」も出来ることが強みだ。
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