
前身が旧商科大学だった一橋大学、神戸大学、大阪公立大学による対抗戦「旧三商大柔道大会第73回大会」が、11月24日に神戸大学において開催された。
大会創設は昭和6(1931)年。第二次世界大戦のため一旦幕を閉じたが、昭和28(1953)年に「旧三商大柔道大会」の名称で復活し、今年で73回目を迎えることとなった。
試合形式は15人制勝ち抜きの団体戦。ルールは講道館試合審判規定を土台に「勝敗を決するのは技有、警告以上」「効果ある引き込みは認め、寝技を長くみる」と規定。立技、寝技両方を生かすことが出来る試合形式で行われる。
第1試合は一橋大学が大阪公立大学に2人残しで勝利、第2試合は神戸大学が大阪公立大学に2人残しで下し、初戦を勝利した両校によって優勝決定戦が争われることとなった。
優勝決定戦
一橋大学〇二人残し△神戸大学
[先鋒] 西岡海凪◯内股△正垣大成 [先鋒]
[先鋒] 西岡海凪○横四方固△北条亘 [次鋒]
[先鋒] 西岡海凪○上四方固△一瀬輝人 [三鋒]
[先鋒] 西岡海凪○大外刈△李江 [五鋒]
[先鋒] 西岡海凪○送襟絞△宮本康生 [六鋒]
[先鋒] 西岡海凪○大外刈△岩坂秀悟 [七鋒]
[先鋒] 西岡海凪◯優勢△笠井涼介 [中堅]
[先鋒] 西岡海凪○内股△武田泰一 [七将]
[先鋒] 西岡海凪△引分△宮本祐成 [六将]
[次鋒] 村田拓海△合技◯佐藤達大 [五将]
[三鋒] 今田東吾△背負投○佐藤達大 [五将]
[四鋒] 長谷川嵩○合技△佐藤達大 [五将]
[四鋒] 長谷川嵩△合技○西山雅春 [四将]
[五鋒] 舩本結太郎△袈裟固○西山雅春 [四将]
[六鋒] 森澤歩△横四方固○西山雅春 [四将]
[七鋒] 堀部薫△引分○西山雅春 [四将]
[中堅] 古川直△足払○小園将司 [三将]
[七将] 斉藤颯○払腰△小園将司 [三将]
[七将] 斉藤颯△合技○伴音示朗 [副将]
[六将] 足立晴△横四方固○伴音示朗 [副将]
[五将] 鈴木慶南△体落○伴音示朗 [副将]
[四将] 大石恒介△横四方固○伴音示朗 [副将]
[三将] 前谷倖輝△腕挫十字固○伴音示朗 [副将]
[副将] 根川慧○小外刈△伴音示朗 [副将]
[副将] 根川慧○内股△野木空悟 [大将]
[大将] 多田壮志

優勝決定戦は、ホームグラウンドでの優勝に燃える神戸大学と、三連覇を狙う一橋大学との対戦となった。
一橋大学はエースの西岡海凪を先鋒に起用。西岡はベンチの期待に応え、序盤より快進撃を見せる。内股、大外刈など多彩な技を駆使して実に8人を抜き、神戸大学9人目の宮本祐成と引き分け。流れを一気に一橋大のものとした。
しかしここから神戸大も意地を見せ、五将佐藤達大が2人、四将の主将西山雅春が3人を抜き返し、序盤で出来上がった人数差を徐々に埋めていく。
ここで一橋大は七鋒堀部薫が畳に上がる。少しでも人数差を埋めんと4人目を抜かんとする西山と、確実に引き分けて次に繋ぎたい堀部との対戦は、西山の猛攻を堀部がなんとか凌ぐ形で制限時間間際までもつれ込む。残り2秒、西山が抑込の形に入り、勝負あったかに見えたが、「抑え込み」宣告の直前に時間切れ。ここは引き分けとなる。
その後は一進一退の攻防が続き、5人差ビハインドの神戸大は副将の伴音示朗が登場。昨年怪我の影響でこの大会に出場出来なかった伴は、ひときわ闘志がみなぎっていた。キレのある立技、安定感のある寝技を用いて一気に5人を抜き、ついにスコアはタイ。一橋大副将の根川慧を引き摺り出すこととなる。エース同士の戦いは緊張感がみなぎったが、5人を抜いてさすがに疲れの見える伴に対し、根川が攻勢。最後は小外刈で詰め寄り、決定的な「一本」。畳に残った根川が大将も抜ききり、二人残しで一橋大の勝利となった。一橋大学は3連覇達成。神戸大学は2年ぶりの準優勝となった。
優勝決定戦における引き分けは2試合のみ。反則での優劣がつけがたいルールであるため、試合展開は常に「取るか、取られるか」。見応えのある両校の戦いであった。
また、今年度大会は3試合ともに2人残しという接戦。両校のエースが複数人を抜きあい、抜きつ抜かれつの試合は、柔道の醍醐味と「勝ち抜き戦」の面白さを存分に感じさせてくれた。
死力を尽くして闘い抜いた両校の選手には会場を埋め尽くしたOBや関係者から拍手喝采。場内に称賛の声が響き渡った。

成績
優 勝:一橋大学
準優勝:神戸大学
第三位:大阪公立大学
【第1試合】一橋大学○二人残し△大阪公立大学
【第2試合】神戸大学○二人残し△大阪公立大学
【優勝決定戦】一橋大学〇二人残し△神戸大学
談話

一橋大学 足立晴主将
「まずは三連覇を果たすことができ、大変嬉しく思っています。内容としては2戦とも最後まで気が抜けない状態が続くなか、同期や後輩たちがよく踏ん張って戦い抜いてくれました。ただ、この勝利は選手だけでなく、指導してくださった先生方や先輩方、そして一橋大学柔道部に関わってくださった全ての方々のお陰です。この場をお借りして感謝の気持ちを伝えられればと思います。また、開催まで沢山のご準備をいただいた神戸大の皆様をはじめ、関係者の皆様にも深く御礼申し上げます。」

神戸大学 西山雅春主将
「今年度の旧三商大戦は、コロナ禍を乗り越え、実に7年ぶりに神戸大学・艱貞堂で開催することができました。艱貞堂創立90周年という節目の年に開催できたことに、歴史の重みと大きな喜びを感じるとともに、必ずや優勝杯を持ち帰りたいという強い思いで臨みました。結果としては力及ばず準優勝となりましたが、仲間とともに切磋琢磨し、共に成長できた時間はかけがえのない財産です。改めまして、旧三商大戦の開催に尽力してくださった皆様、そして多大なるご支援を賜りましたすべての方々に、心より御礼申し上げます。」
自他共栄の精神
で称え合い、敗者は仲間と来年以降の優勝を誓い合う。選手だけでなく応援しているOB達も同じ気持ちである。恒例の三大学合同の懇親会が今年も行われ、お互いの健闘を称え合い、エール交換や部歌斉唱を行った。この対抗戦がより多くの方々の心に響く大会になるようにと卒業生が団結、近年の大会では各大学のOB会の協力でYouTube配信も行っている。この、自他共栄の精神による交流が、この大会最大の特徴。参加者一同が、長い歴史を誇るこの大会がさらに発展するようにと願って、今年度大会は散会となった。
寄稿・写真提供:主催者
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