文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta
グランプリ・ポルトガル2022、日本代表選手6名(※当初7名、100kg級の鈴木直登が欠場)の採点表・寸評をお届けする。例によって最大の評価軸は、己の持てる力を存分に発揮したかどうか。
全員がジュニア世代、そして国際大会に出ること自体が初めて。国内の強さの所以であったそれぞれの「上昇のハシゴ」が海外のシニア選手に通用するものなのか、また普段から海外での戦いを意識して柔道を作っているのかどうかが、真正面から問われる大会となった。出ること自体が貴重な経験であった。
最大の発見は81kg級の老野祐平。単に強いから勝つのではなく、方法論や思想のレベルでジュニア離れしていた。組み手と技が常に連動し、継ぎ目がない。自分の作りの段階を上げるため、また相手の組み手のレベルを下げるためのツールとしての、技と組み手の扱いがフラット。それでいてゴールにはきちんと大技がある。ここまで出来ている選手はシニアのトップでもなかなかいないのではないか。率直に恐れ入った。本人の資質の高さはもちろんだが、所属の指導の賜物だろう。戦略眼の高さと具体的な手立ての確立・連携というところでは、100kg超級の中村雄太も素晴らしかった。
60kg級の中村太樹と66kg級の福田大和が大健闘。
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