【プレビュー】48kg級は角田夏実と古賀若菜の一騎打ち、スター選手勢揃いの52kg級と57kg級は地元フランス勢がトーナメント引っ張る/グランドスラム・パリ2022第1日女子プレビュー(48kg級、52kg級、57kg級、63kg級)

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48kg級 角田夏実と古賀若菜の一騎打ち、準決勝に刮目せよ

ブダペスト世界選手権王者の角田夏実
ブダペスト世界選手権王者の角田夏実

同2位の古賀若菜
同2位の古賀若菜

(エントリー16名)

シリーヌ・ブクリ(フランス)が直前で出場を取り消し。海外勢から一線級がいなくなり、2021年ブダペスト世界選手権王者の角田夏実(了徳寺大職)と同2位の古賀若菜(山梨学院大2年)による「一騎打ち」と言って差し支えない構図となった。形上第1シードにはレグ=メラニー・クレモン(フランス)が座っているが、角田、古賀のどちらにとっても敵ではない。

角田と古賀は揃ってトーナメントの下側に配されており、直接対決は準決勝。プール内に障壁になるレベルの相手はおらず、どちらもほとんど消耗なく勝ち上がることができるはずだ。過去の戦績は角田の3戦全勝。直近の対戦である2021年ブダペスト世界選手権決勝も含めて、古賀は角田の巴投から寝技の柔道スタイルにほとんど対応できていない。ここに古賀がどのような解を持ち込んでくるのかが、第一の見どころだ。この試合の結果は今年の世界選手権の選考にも大きな影響を及ぼすと予想され、両者ともに相当に気合が入っているはず。緊張感のある熱戦に期待したい。

【プールA】
第1シード:レグ=メラニー・クレモン(フランス)
第8シード:イ・ヘキョン(韓国)

【プールB】
第4シード:ケイシー・ペラファン(アルゼンチン)
第5シード:カタリナ・メンツ(ドイツ)

【プールC】
第2シード:古賀若菜(山梨学院大2年)
第7シード:プリシラ・モラン(モーリシャス)

【プールD】
第3シード:角田夏実(了徳寺大職)
第6シード:プロンディーヌ・ポン(フランス)

52kg級 地元ブシャー筆頭に強豪ずらり、志々目は準決勝でリベンジマッチに挑む

アモンディーヌ・ブシャー
アモンディーヌ・ブシャー

ディストリア・クラスニキ
ディストリア・クラスニキ

志々目愛
志々目愛

(エントリー18名)

東京五輪銀メダリストのアモンディーヌ・ブシャー(フランス)を筆頭に、同銅メダリストのチェルシー・ジャイルス(イギリス)、同48kg級金メダリストのディストリア・クラスニキ(コソボ)、世界選手権優勝2度(2017年、2021年)の志々目愛(了徳寺大職)とトップ選手がずらり。ここにファビアン・コッヘル(スイス)、ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)らも加わり、見どころの多くレベル高いトーナメントが組みあがった。

優勝候補は志々目、ブシャー、クラスニキの3名。事前予想の段階で明確な実力差を見出すことは難しく、誰が勝ってもおかしくない。組み合わせでは志々目とブシャーが上側の山の準決勝でマッチアップ予定、一方下側の山のクラスニキは準々決勝でジャイルスとの対戦が組まれている。

志々目はブシャーに3勝2敗。うち1回は負傷による棄権負けであることを考えれば一方的に勝ち越していると言っていいが、ブシャー覚醒後の2021年ワールドマスターズ・ドーハでは「指導3」の反則で一敗地に塗れている。ブシャーは言うまでもなく2024年パリ五輪における最重要ターゲット選手。ライバルの阿部詩(日本体育大3年)の存在を考えれば、志々目はここで連敗を喫するわけにはいかない。いまのブシャーは次々「潜り技」を繰り出してくるスタイルに仕上がっており、以前のような集中力切れを待つ耐久戦法では反対に「指導」を積まれる可能性が高い。早く二本を掴んでしまい、積極的に技を出して投げを狙うことで試合のペースを掴みたいところ。ここさえ勝ち上がってしまえば決勝で対戦するであろうクラスニキ、あるいはジャイルスはいずれも組み合って戦うタイプのため、比較的戦いやすいはずだ。気になるのは、「韓国背負い」禁止措置。得意技の内股がとにかく目立つ志々目だが、この技を晒しておいての「韓国背負い」も非常に取り味のある技。内股という「ストレート」のみ、韓国背負いという「カーブ」が使えない状態でフィニッシュ率をキープするのはなかなかのハードル。特にブシャー相手には片手で進退する場面が多くなるはずで、この技が使えないのはなかなかのハンデ。よりソリッドに、早く両手を掴んでしまう必要がある。どんな解を持ち込んでくれるのか注目したい。

一方、クラスニキとジャイルスは2018年に一度対戦しており、その際は大外落と一本背負投の合技「一本」でクラスニキが勝利している。これはジャイルスが本格ブレイクする前のためあくまでも参考記録に近いが、クラスニキの柔道の完成度の高さ、そして先週のグランプリ・ポルトガルでの圧倒的な勝ちぶりを考慮すれば、今回の¥もクラスニキの勝利が濃厚だ。とはいえ、どちらも柔道の前提条件は地力勝ちすること。果たして現在の力関係ではどちらが試合の主導権を握るのか。まずは組み合っての力比べでどちらが組み勝つのかに注目だ。

【プールA】
第1シード:アモンディーヌ・ブシャー(フランス)
第8シード:アレクサンドラ・カレタ(ポーランド)

【プールB】
第4シード:アストリード・ネト(フランス)
第5シード:志々目愛(了徳寺大職)
有力選手:マシャ・バルハウス(ドイツ)

【プールC】
第2シード:チェルシー・ジャイルス(イギリス)
第7シード:ディストリア・クラスニキ(コソボ)

【プールD】
第3シード:ファビアン・コッヘル(スイス)
第6シード:ビシュレルト・ホルロードイ(モンゴル)
有力選手:クロエ・デヴィクト(フランス)

57kg級 玉置桃は準々決勝で好調シウバと対戦、好配置の舟久保遥香はベスト4進出が濃厚

サハ=レオニー・シジク
サハ=レオニー・シジク

ラファエラ・シウバ
ラファエラ・シウバ

(エントリー26名)

52kg級に劣らず豪華なトーナメント。第1シードには東京五輪銀メダリストのサハ=レオニー・シジク(フランス)が座り、以下先週のグランプリ・ポルトガルを素晴らしい出来で制した2016年リオデジャネイロ五輪金メダリストのラファエラ・シウバ(ブラジル)、2021年ブダペスト世界選手権銀メダリストの玉置桃(三井住友海上)と世界大会で優勝を狙うクラスの強豪が3名参戦。ここに2019年東京世界選手権銅メダリストのユリア・コヴァルツィク(ポーランド)、舟久保遥香(三井住友海上)、レン・チェンリン(台湾)、マリツァ・ペリシッチ(セルビア)、そして地元フランスからファイザ・モクダ(フランス)とプリシラ・ネト(フランス)と実力のある上位選手が加わり、層の厚いトーナメントが組まれた。

優勝候補はシジク、玉置、シウバの3名。安定感の玉置に爆発力のシジク、シウバとそれぞれの属性がはっきりしており、相性的な優位は玉置にある。しかし、地元大会で間違いなく「上がって」いるであろうシジクに、先週優勝したばかりでこちらも勢いに乗っているシウバとともに爆発の可能性十分。組み合わせでは準々決勝で玉置とシウバが戦い、その勝者が決勝でシジクに挑むことになる。シウバはさらに1回戦でレン、2回戦でモクダと初戦から実力者との連戦が組まれており、玉置戦に辿り着くだけでも一苦労という厳しい組み合わせ。ここでシウバが疲労してしまうか、それとも快勝で調子を上げて勝ち上がってくるのか、まずは序盤戦でその調子のほどを確認しておきたい。

もうひとりの日本代表の舟久保は2021年大会の王者として2連覇を狙う立場。今回は組み合わせに恵まれ、特筆すべき強豪との対戦は準々決勝のコヴァルツィクまでなし。さらにこの選手は最大の武器の「韓国背負い」が新ルールで禁止され、かつて程の怖さはない。ベスト4進出は濃厚、できるだけ余力を残してシジクとの大一番に臨みたいところ。最後の大会出場となっている昨年10月の前回大会出みせた組み手と足技、寝技を有機的に連動させた練度の高い柔道を見せることができれば、優勝も狙えるはずだ。

玉置桃
玉置桃

舟久保遥香
舟久保遥香

【プールA】
第1シード:サハ=レオニー・シジク(フランス)
第8シード:ラグワトゴー・エンフリーレン(モンゴル)
有力選手:ザイヤ・バルハウス(ドイツ)

【プールB】
第4シード:ユリア・コヴァルツィク(ポーランド)
第5シード:ミナ・リベール(ベルギー)
日本代表選手:舟久保遥香(三井住友海上)

【プールC】
第2シード:玉置桃(三井住友海上)
第7シード:ファイザ・モクダ(フランス)
有力選手:ノラ・バンネンベルク(ドイツ)、レン・チェンリン(台湾)ラファエラ・シウバ(ブラジル)

【プールD】
第3シード:マリツァ・ペリシッチ(セルビア)
第6シード:プリシラ・ネト(フランス)
有力選手:ヴェラ・ゼマノヴァ(チェコ)、フラカ・ロクサ(コソボ)

63kg級 鍋倉那美、土井雅子ともに決勝進出が必達目標

鍋倉那美
鍋倉那美

土井雅子
土井雅子

(エントリー22名)

トップ選手の出場は東京五輪銅メダリストのキャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)のみ。ルーシー・レンシャル(イギリス)が第1シードということからもわかる通り、全体としてのレベルはあまり高くない。とはいえ、日本代表の鍋倉那美(了徳寺大職)と土井雅子(三井住友海上)に、マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)、サンネ・フェルメール(オランダ)らのワールドツアー常連組。さらにアンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)、レナタ・ザコワ(チェコ)、ラウラ・ファズリウ(コソボ)、マノン・デケテ(フランス)らの若手有望株、70kg級から転向のジェンマ・ハウエル(イギリス)と有力選手の数は十分。他の階級と違って目玉になるようなカードはないが、序盤から見応えのある戦いがトーナメントの各所で組まれている。

日本代表の鍋倉・土井はトーナメントの上下に分かれて配置されており、直接対決が実現するのは決勝。それぞれの勝ち上がりの予想は鍋倉が2回戦でザコワ、準々決勝でフェルメール、準決勝でブーシェミン=ピナード、土井が2回戦でファズリウ、準々決勝でレンシャル、準決勝でデルトロ=カルバハル。いずれもそれなりに骨のある相手であるが、日本代表を張る選手であれば勝利して当然の相手ばかり。両者ともに決勝進出は必達、目指すは優勝のみだ。

特に鍋倉は苦い敗戦を経験した2021年ブダペスト世界選手権からの出直しの大会。新所属で臨む初陣でもあり、なんとしても良い結果を持ち帰りたいところ。昨年は世界選手権後には長年苦しめられた肩の手術も行ったとのことで、一段上のパフォーマンスを見せてくれるのではないか。大いに期待したい。

キャサリン・ブーシェミン=ピナード
キャサリン・ブーシェミン=ピナード

【プールA】
第1シード:ルーシー・レンシャル(イギリス)
第8シード:ラウラ・ファズリウ(コソボ)
有力選手:マノン・デケテ(フランス)
日本代表選手:土井雅子(三井住友海上)

【プールB】
第4シード:マイリン・デルトロ=カルバハル(キューバ)
第5シード:ヘーケ・ファンデンベルフ(オランダ)
有力選手:アレクシア・カスティルホス(ブラジル)

【プールC】
第2シード:キャサリン・ブーシェミン=ピナード(カナダ)
第7シード:アンジェリカ・シマンスカ(ポーランド)

【プールD】
第3シード:サンネ・フェルメール(オランダ)
第6シード:レナタ・ザコワ(チェコ)
有力選手:メロディー・トゥルパン(フランス)、ジェンマ・ハウエル(イギリス)
日本代表選手:鍋倉那美(了徳寺大職)

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→速報戦評(随時更新)

文責:小林大悟・eJudo編集部

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