文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta
派遣選手の数は少ないのだが、この大会が2023年ドーハ世界選手権の3次選考会を兼ね、かつ「代表内定者決め」の強化委員会が目前ということもあり、早出しで恒例の日本代表選手採点表をお届けする。
総評
ワールドマスターズ・エルサレム2022、まずは大会全体のインプレッションを。書きとめて置きたいことがとにかく多いのだが、敢えて1トピック挙げさせて頂ければ、間違いなくフランス勢、特に男子の躍進である。かつては「リネールとそれ以外」の感あり、メソッド柔道の閉塞に陥り五輪代表を送りこめぬ階級すらあったあの姿が嘘のよう。まさに、揚がる勢いにある。しかも層が厚い。90kg級2位のアレクシ・マチュー、66kg級2位のダイキー・ブバはトーナメントの主役。81kg級のアルファ=ウマ・ジャロはもはや完全に「強豪」の箱、66kg級3位のワリード・キアも良かったし、73kg級のジョアン=ベンジャマン・ガバは今大会も存在感があった。しかも皆、個性的で柔道の質が良い。勝つという目的に対して起こす行動がいちいち本質的だ。女子も素晴らしい。ホマーヌ・ディッコを領袖とした最重量級軍団の充実はさらに加速、今大会は70kg級マリー=イヴ・ガイと48kg級シリーヌ・ブクリの復活が印象的だった。来年はフランスの年になり、そしてこの勢いのままパリ五輪本番に飛び込むというシナリオが色濃く見える。弱点だった男子90kg枠が埋まり、団体戦もさらに一段強くなる。目が離せない。
次に日本代表について。色々な面でチグハグであった。採点に移る前に大前提としてまずエクスキューズを述べておくと、どう考えてもこの連戦は過酷である。日本人4人が出て「絶対に負けられない戦い」と凄まじいプレッシャーを掛けられたグランドスラム東京から僅か2週間余り。この厳しいなスケジュールにあっては力を出し切れないのが当たり前である。勝った選手が物凄いだけであって、全体的なパフォーマンスの低下は致し方ない。少々気の毒であった。
スポンサーリンク