【eJudo’s EYE】大会総評・日本代表選手採点表/グランドスラム・テルアビブ

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文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

日本は4人が出場、梅木真美が好内容で3位入賞を果たした。

グランドスラム・テルアビブ、恒例の日本代表選手採点表をお届けする。もっとも重きを置くのはいつも通り、己の持てる力を出せたかどうか。

先んじて、今回も簡単に総評を。

78kg級パリ五輪の主役はベッランディ、ムキとヴァンドケが見せた「最適解」に感じ入る

78kg級を制したアリーチェ・ベッランディ。写真は決勝、マドレーヌ・マロンガから小外刈「技有」

もっともインパクトがあったのは女子78kg級、優勝したアリーチェ・ベッランディ(イタリア)の強さだ。かねて潜在能力の高さは感じていたが、思った以上に早くブレイクポイントが来た。

78kg級は近い力関係のパワーファイターがノーガードの撃ち合いを繰り返す「野生の王国」で、このベースラインは北京五輪以降の十数年ほぼまったく変わっていない。勝ち筋は大雑把に言って2種。世界観に則った「ノーガードの撃ち合い」の強者としてピラミッドの頂点に辿りつくこと、もう1つは質的にまったく違うものを持ち込んで抜け出すこと。ベッランディは後者。柔道がソリッドだ。マロンガやヴァグナーに代表される、「進退は緩いが一発が強い」鷹揚な柔道とは一線を画す。体が極めて強いだけでなく動きも瞬間的な反応速度も速く、78kgタイプの大技に加えてカウンターの担ぎ技も出籠手狙いの巴投も備える。「固定して撃ち合うことで勝負をつける」78kg級の強者たちとの相性かみ合わせがいい。若い頃のマイラ・アギアールならやれたと思うが、いまの主役級には対抗し得るタイプが少ない。ケイラ・ハリソン的な抜け出し方をする可能性すらあるのではないか。年齢的にもパリ五輪は選手としてもっとも脂がのる時期。本命になると見ておくべきだろう。少なくともドーハ世界選手権ではV候補の最右翼として扱いたいと思う。

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