五輪3連覇のレジェンド・野村忠宏氏が主催する柔道イベント「DaiwaHouse Presents 第七回 野村道場」(Nextend主催、大和ハウス工業特別協賛)が 2月19日、奈良市の大和ハウスグループみらい価値共創センター「コトクリエ」で行われた。
一流柔道家と子どもたちが柔道を通じてコミュニケーションを図るこのイベントは今回が7回目で、関東圏以外の開催はこれが初めて。講師には野村氏のほか、シドニー五輪100kg超級銀メダリストで元日本代表監督の篠原信一氏、リオ五輪・東京五輪73kg級金メダリストの大野将平選手と、ご当地奈良・天理大卒のビッグネームが集結し、柔道未経験者を含む小中学生約120人と汗を流した。
礼法指導、講師の得意技披露、サーキットトレーニングと続いたイベントは、序盤から大盛り上がり。
技の指導ではまず大野選手が「篠原先輩が「大外刈は俺」と仰ったので」と今回は内股を指導。「引き手は、後の壁を肘が突き破るように引く」「釣り手は肘を腋の下に」という「引き出し・崩し方」と、相手を前傾させた状態から「脚だけで跳ね上げる」という2つの方法をミックスさせる、簡にして要を得たワンポイント指導を行った。篠原氏は「重心を狙う足に集める」ことに重点を置いて大外刈を、野村氏は「自分にあった一歩目を掴む」「しっかり崩して重心を捕まえる」ことを強調して背負投と、それぞれが世界に名を轟かせた得意技を、本質的な言葉と動きで指導した。
この間、新たな試みとして会場を分けて未経験者への柔道教室も実施。野村氏の背負投の指導などをもとに、助手の大学生を「投げてみる」アクテクビティで初めて触れる柔道の面白さを体験した。講師は複数の会場を走り回って指導を行い、大忙し。
続いてのメイン会場での乱取りでは、講師3名が巧みな引き立て稽古を披露。良い技に投げられるその中でも「一流の技を少しでも感じてもらいたい」(大野)と、機を見て綺麗な技を決め、子どもたちは投げては、そして投げられては目を輝かせていた。
恒例の質問コーナーは「(篠原氏に)何を食べたらそんなに背が伸びるんですか?」「ごはんを残さず食べていました。あとは牛乳をたくさん飲ませて頂きました!」とこれもボルテージ高く進行。野村氏は「大きい身体の人に勝つには?」との質問に「いますぐに勝つのは難しい。組むことを心がけ、背負投を掛けることを繰り返していれば、体が成長し始めたときに勝てるようになってくる」と「中1で32キロしかなかった」という自身に重ねたのか、いとおしげに質問者を見つめて、丁寧な答えで応じていた。
最後のプレゼントコーナーは大野選手との「じゃんけん対決」で大いに盛り上がり、約2時間のイベントは終了。
野村氏は額の汗をぬぐいながら「子どもたちの柔道が好きという気持ちが嬉しかったし、見守る親御さんたちの笑顔がとてもありがたかった。ゴールはいまではないので、頑張っていること自体を褒めてあげて欲しい」とメッセージ。「関東、関西だけでなく色々なところでやっていきたい」と、今後の意欲を語っていた。
囲み取材に応じた講師のコメントと、写真によるイベントレポートは下記。
野村忠宏氏のコメント
「自分は生まれも育ちも住まいも奈良県、生粋の奈良っ子です。地元で子どもたちの笑顔がたくさん見られて、素晴らしい一日でした。柔道が好きな子がますます好きになってくれる、今日初めて柔道に触れた子たちが学校で「初めてやってみて楽しかった」と話してくれる、そんなイベントになったらいいなと思っています。今回は初めての関西開催でしたが、関東・関西だけでなく、ぜひ全国色々なところに出かけていきたい。」
篠原信一氏のコメント
「柔道衣を着て子供たちと接する機会自体がなかなかない。声を掛けて貰ってありがたかったですし、子どもたちの笑顔や親御さんたちの喜ぶ顔を見て、私も癒されました。有意義な1日でした。野村忠宏から協力要請あれば、私は全国どこでもすぐさま駆け付けます。柔道衣を着たのは1年半ぶり。体動かせていなかったのですが、投げられる練習をもっとして、鍛えておきます。」
大野将平選手のコメント
「天理の大先輩の方々とご一緒出来て光栄でした。子どもたちは、今までで一番元気があるんじゃないか、というくらい盛り上がっていましたね。普段学生と稽古していても、投げられることがなかなかないので、小中学生に投げられて「投げられて、立ち上がる」ことの繰り返しの大変さを久々に思い出しました。(―参加者にメッセージを)小中学生のうちは、あまり強い弱いは関係ない。どれだけあきらめずに出来るかがポイント。楽しい気持ちと、我慢できる気持ちを持って続けられる子が増えてくれたら嬉しいです。」
イベントレポート
写真提供:野村道場
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