【eJudo’s EYE】反則技「ゲルビチョーク」から導き出すべき論点/世界柔道選手権63kg級「評」

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文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

反則技「ゲルビチョーク」から導き出すべき論点

ヤーデン・ゲルビ(右)

準決勝で阿部香菜(三井住友海上)を「一本」、さらに決勝では優勝候補筆頭のクラリス・アグベニュー(フランス)を絞め落とすという衝撃的な結末で再度の「一本」。リオ世界選手権63kg級の「評」で取り上げるべきは初優勝を飾ったヤーデン・ゲルビ(イスラエル)、というよりその決め技である「ゲルビチョーク」以外に考えられないであろう。

上衣の裾を使って相手を絞める、柔術では「ラペラチョーク」という体系で括られるという(門外漢なので誤りがあったらご容赦願いたい)この技術。見逃した方はyoutubeなどに映像が溢れているのでぜひ見てみてもらいたい。道場で試してみればすぐにわかると思うが技自体の威力は抜群。加えて「知っているものが知らないものを永遠に取り続ける」鉄則に支配される寝技世界で、警戒されていない技術というのはその存在自体が核爆発的な威力、技術1個で大会の様相を全てひっくり返すだけのパワーを持つ。(2010年世界選手権の「秋本返し(柴山縦)」を思い出して貰いたい)

この仮称「ゲルビチョーク」の周辺を考えるにあたってまず前提としておきたい事項が2つ。

この技術は、明確な反則であるということ。
そして、ゲルビがこの技術が反則であることを知っていて敢えて投入した"確信犯"であるという事実だ。

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