文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta
女子6階級日本代表選考の「評」をお送りする。選考自体は非常に順当、異を唱えるべき階級はない。ただ表題に掲げた通り、五輪金メダリスト阿部詩が両肩手術から回復しきれていないにも関わらず、結果として「顔見世」のために出場をやむなくされたその事態については少し考えてみるべきところがあると思う。男女日本代表に共通する問題がある。52kg級評のほか、別項を立てて少し書いてみる。
48kg級 渡名喜風南(パーク24)、角田夏実(了德寺大職)
第1シード選手と第2シード選手が決勝で対決。前年のオリンピック銀メダリストと世界選手権金メダリストが最終選考会でも結果を残したということで、文句なしのダブル選出となった。「2枠目」に関しても、昨年の世界選手権チャンピオン2人(角田と52kg級の志々目愛)のうち最終選考会でより成績を残したのは角田の側で、これは順当。
2人の柔道は他と隔絶したレベルにある。一方海外勢は世代交代期で全体的に低調、今の48kg級世界にこの2人では「力が余る」のではないかとすら感じる。このまま世界選手権でも決勝で戦う可能性が高いはず。大いに期待したい。
アジア大会代表はおそらく古賀若菜(山梨学院大3年)。角田・渡名喜との対戦を見る限りこの2人には競技力・柔道の質とも相当水を空けられてしまっているが、海外選手との対戦となれば話は別。しっかり勝って1年間態勢を整え、捲土重来を期したい。渡名喜が対ビロディドを考え抜いた結果として全方位的にレベルを上げたように、対角田・渡名喜を考えることこそが自己育成の大戦略になるはずだ。
52kg級 阿部詩(日本体育大4年)
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