世界柔道選手権は10日、大会5日目の男子90kg級と女子70kg級の競技が行われ、70kg級はバルバラ・マティッチ(クロアチア)が優勝した。マティッチは昨年のハンガリー世界選手権に続く大会2連覇。決勝はララ・ツヴェツコ(クロアチア)との同国対決を制した。
日本勢は2人が出場。新添左季(自得体体育学校)が3位、田中志歩(JR東日本)は5位だった。
レポート、試合結果、日本代表全試合の結果・戦評は下記。全試合結果は別掲。
文責:古田英毅
【レポート】
「直前プレビュー」で解説させて頂いた通り、ともにノーシードの日本勢2人の組みあわせは明暗が分かれた。プールDに配された新添左季(自得体体育学校)は厳しい山、初戦からメダル候補・優勝候補との戦いが続く。一方プールBに配された田中志歩(JR東日本)は比較的戦いやすい山。シード選手2人のレベルも高くなく、ベスト4入りまでは既定路線と目される。
新添は難敵連破も、伏兵ツヴェツコに苦杯
新添の初戦(1回戦)は東海大で修行を積むエルビスマル・ロドリゲス(ベネズエラ)。新添はケンカ四つの相手に組み手を争い過ぎず、敢えて引き手から掴みに行き、そして切り過ぎず、相手と繋がったまま斜めにずれることで空間を作っては、ここに長い脚を差し入れて投げを狙う。手足の長い己の身体的特徴と、「組んで投げる」長所をよく踏まえた柔道。序盤左内股を横車に取られそうになる危機があったが怖じず、1分15秒には左内股で「技有」リード。ロドリゲスは両襟、敢えての左組み受け入れ、背中抱き、と追い掛けるものとして非常に理に適った手だてを次々繰り出すが、新添はすべて弾き返して「技有」優勢で勝利。
2回戦はこの日の相手で唯一与しやすいと思われるツェレンデュラム・エンフチメグ(モンゴル)とマッチアップ。足技で崩し、パワーを生かそうと前に出て来た相手をそのまま左払巻込にとって早々に「技有」。そのまま後袈裟固に抑え込んで56秒「一本」。
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