【レポート】古賀玄暉2連覇、決勝は髙藤直寿から鮮やか出足払「一本」/2022年全日本選抜柔道体重別選手権男子60kg級

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【評】「進化した古賀の進退、受け入れ過ぎた髙藤」

取材・評:古田英毅
Text by Hideki Furuta

 

準決勝まで

優勝候補は五輪金メダリスト髙藤直寿(パーク24)と、長年のライバル永山竜樹(了徳寺大職)。
 
そして大会は第1試合で永山が消えるという波乱の出だし。アップセットの担い手となったのは長身の変則選手・青木大(パーク24)。

V候補永山竜樹、初戦で敗退

青木大が永山竜樹から得意の隅返で「技有」先行。
この試合は右相四つ。青木は得意の捨身技で先制攻撃。繋がることが優先と見た永山が両襟を持つと、青木は引き手で背中、釣り手で上腕を抱え、熊代佑輔ばりの「クワガタ組み手」でガッチリ挟み込む。挟まれて小さくなった永山は場外際まで詰められ、出口を求めて時計回りに脱出。しかし待ち構えた青木は永山が伝い歩く円周の中心でクルリと身を翻し、コンパクトに正対を作ると得意の隅返。回る行先めがけて技を合わされた永山、移動を加速される形で吹っ飛んで体側から落下。1分13秒「技有」。
以後は青木の永山研究が随所にうかがわれる展開。青木は左構えで引き手から持ち、釣り手から持つことに忌避感がない永山の左技を誘導。目論見通りに左の担ぎ技が襲うとすぐさま背中を捕まえて得意の隅返と抱分に連絡して取りに掛かる。永山の攻めが止まると「クワガタ組み手」で固定しては浮技に隅返。スクランブル態勢の永山は時計回りに背中に食いつき得意の裏投に打って出るが、青木これも予測済み、相手の回転に合わせた浮技に切り返して大きく崩す。永山組み際に片襟の左背負投、さらに片手の左袖釣込腰と見せるもこれも青木にとってはすべて己の攻撃のスイッチ、背負投は抱分に、片手袖釣込腰はこれも回転に合わせた浮技に切り返してあわやという場面を作る。永山は前に出て「指導2」まで得るが、青木の捨身技がすべて投げに掛かる技ということもあり、これ以上の「指導」の上積みは望みがたい状況。
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