取材・文:古田英毅
Text by Hideki Furuta
決勝
決勝に残ったのは、東海大相模高(神奈川)と、大牟田高(福岡)の2校。
東海大相模は第31回大会(2010年)以来の決勝進出。この日は配列をほぼ固定、前衛に木原慧登と上田夏也人、そして田中詩音とポイントゲッター3枚をまとめて突っ込む超・前重心の攻撃型布陣で勝ち上がった。ここまでは無失点.。スコアは福井工大福井高(福井)に4-0、崇徳高(広島)に2-0、白?大足利高(栃木)に3-0、そして準決勝は作陽高(岡山)に1-0。総得点10のうち、前衛3枚の得点が8。木原・上田、そして田中の得点力をテコに、羽賀龍之介を擁した第30回大会(2009年)以来13年ぶりの優勝を狙う。
大牟田は、前回団体戦が行われた第41回大会(2019年)に続く、2大会連続の決勝進出。この試合の勝利に悲願の初優勝を掛ける。この日は73kg級のポイントゲッター竹市裕亮の高いジャンプ力を、地力ある5枚が下支えする形で優勝候補を立て続けに破った。勝ち上がりは2回戦で中京高を4-0、3回戦で高川学園高(山口)を3-1、勝負どころの準々決勝は埼玉栄高(埼玉)を2-1、続いて準決勝で木更津総合高(千葉)を1-0。竹市は埼玉栄戦では今代最強の抜き役と目された100kg級インターハイ王者新井道大を合技「一本」、準決勝でも決勝点となる袖釣込腰「一本」をマークしており、ここまでは大会MVP級の活躍。
開示されたオーダー配列は下記。
東海大相模高(神奈川) - 大牟田高(福岡)
(先)木原慧登 - 山田伊織
(次)上田夏也人 - 森山耀介
(中)田中詩音 - 竹市裕亮
(副)金杉元太 - 熊谷諒也
(大)手塚春太朗 - 三木望夢
東海大相模はここまでの陣形を変えず。前衛に木原、上田、続いて田中とポイントゲッターを並べて突っ込む吶喊オーダーを組んだ。木原と上田の連続得点で試合の趨勢を決めてしまい、弱点である後衛2枚の殿戦をフォローしようという構え。典型的な先行逃げ切り型の布陣である。
東海大相模のオーダーがほぼ固定ゆえ、作戦構図的には大牟田が自軍の手札をこれに当てていく「後攻」の形となる。勝つならばポイントゲッターを抑えるのではなく沈めなければならない、とばかりに竹市を田中に手当て。木原にはここまで全試合を手堅く引き分け、準決勝では殿役を務めた山田伊織を配して、上田の枠にはポイントゲッター格の森山耀介を当てた。森山はここまで4戦2勝、前戦では木更津総合のエース四元羅生を地力で弾き返し続けて引き分け、勝利の流れを作った殊勲者。後衛には副将に全国中学校大会90kg超級3位の熊谷諒也を投入、大将には3回戦以来の登場となる三木望夢を配した。
東海大相模としては前戦のような、前衛が取れず、中堅田中が前に出なければいけない展開は避けたい。田中の相手は担ぎ技ファイターで、しかも今大会乗りに乗っている竹市。一発仕掛ける際を増やしてしまうことになる。そして準決勝であそこまで不安定な試合を見せられた以上、後衛2枚に運命が掛かる展開も避けたい。なんとか先制、出来れば木原と上田で2得点した上で田中が分け、早い段階で「分けさえすれば勝利」の道筋を立ててしまいたい。勝負は前衛の2試合だ。
大牟田は中堅までの3試合をタイスコアで凌ぎ切ることが勝ち筋。どの選手も地力が高くオーダーに凹みがないのが今代大牟田の特徴であり、後衛2枚が力比べをする展開になれば十分勝利が見込める。前を凌ぎ、たとえ取られても竹市が取り返し、スコアに差がない状態で勝負を後衛ブロックに持ち込みたい。
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