【eJudo’s EYE】皇后盃の危機救った真っ向勝負。新女王・田中伶奈の「作り方」に思いを馳せる/第40回皇后盃全日本女子柔道選手権大会「評」

eJudo’s EYE(コラム)/注目の記事/記事
  1. ホーム
  2. eJudo’s EYE(コラム)
  3. 【eJudo’s EYE】皇后盃の危機救った真っ向勝負。新女王・田中伶奈の「作り方」に思いを馳せる/第40回皇后盃全日本女子柔道選手権大会「評」

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

皇后盃を受け取る田中。目に涙が光った。

大会前は有力選手の欠場打ち続き、幕が上がれば期待の優勝候補が次々敗退。試合結果については旗判定が半数を超え、内容についても「判定前提の組み立て」が頻発。数年来の低調ここに極まったと思われた皇后盃を、スケール大きい柔道を披露した無印の新女王・田中伶奈(近畿・大阪府警察)が救った。重量級の、それも「真っ向勝負」が旨の選手が豪快な投げで優勝を決めたことで、「観る」コンテンツとしての面白さ、そして日本一決定戦としての権威ともに、辛うじて保たれた感がある。57kg級の白金未桜の健闘もあり、決勝は戦術戦略の白金vs投げの田中という見る側にとってわかりやすい、そしてエキサイティングな構図の戦いとなった。軽量・白金の戦術・技術が勝るか、これを技一発が魅力の重量級・田中が打ち破るかという構図の面白さ、そして両者がこの線にしっかり則って力を発揮した決勝は、純「試合」として十分に楽しめるものだった。全国中継で社会にお出しするに足る内容。角田人気で会場に足を運んで下さり、そのまま席に居残ってくれたファンもこの決勝には満足してくれたのではないだろうか。

有料会員記事
【残り2,774文字 / 全3,304文字】

スポンサーリンク