【連載】見る専👀Ayaの場外ケアシステム #053「出口クリスタが引退を表明、KINGS NEVER DIE、喪章を付けて表彰台に上ったジョージア勢」

注目の記事/記事
  1. ホーム
  2. 注目の記事
  3. 【連載】見る専👀Ayaの場外ケアシステム #053「出口クリスタが引退を表明、KINGS NEVER DIE、喪章を付けて表彰台に上ったジョージア勢」

著者紹介:Aya

Xの人気アカウント2026judoを運営する、柔道ファン界隈きっての「見上手」。SNS投稿の紹介はもちろん、試合情報に関しても的確なピックアップとわかりやすい紹介が好評、ファンのみならず選手間でもよく知られる。代表選手の中には「これさえ見ていればツアーの流れがわかる」と、このアカウントをウォッチするためにXを始めた方もいるほど。

「ケアシステム」=皆さんご存じの、審判用の試合動画録画・再生システム。技の効果や反則判定のチェックなどに使用されます。正式名称“CARE(Computer Aided Replay)システム”

クリスタが引退を表明

「試合に対して燃えるものがなくなった」——私が過ごした短い柔道観戦歴の中でさえ、何度か耳にしたフレーズです。

クリスタ(出口クリスタ:カナダ)は日本での熾烈な代表争いを経験し、その後カナダに移籍したものの、その争いから逃れることができませんでした。外野からはわからない、計り知れないプレッシャーの中で戦ってきたのだと思います。そのクリスタと共に側で戦ってきた妹ケリー(出口ケリー)。二人だったからこそ(実質カヨルレイズ(カナダ)を入れて三人?)この壮絶な時間をかいくぐってこられたのだと想像します。もっとも、これも私の勝手な妄想ではあるのですが。

今回取り上げた二人のほか、レスキ(アンドレヤ・レスキ:スロベニア)ヴァグナー(アナ=マリア・ヴァグナー:ドイツ)など、五輪後に引退を決める選手はたくさんいます。ただ、テディ・リネール(フランス)をはじめ、チュメオ(オドレイ・チュメオ:フランス)濵田尚里(自衛隊体育学校)など、五輪で金メダルを獲った後も競技を続ける選手もいます。この違いは何なのでしょうか。やはりチュメオや濱田のほうが特殊なのでしょうか。この解けない謎を、これからも見守りたいです。

最後に、あくまでも個人的な意見ではありますが……「クリスタにはこんなにかしこまった会見じゃない方が合っていてよかったんじゃないかな」と思いました。あと記者会見のムービーが日本生命らしくて、泣きながら笑っちゃった。

埋込のInstagram動画はカナダ柔道連盟によるパリ五輪までの軌跡をまとめたものです。

出口クリスタ(カナダ)

IJF公式プロフィール
Instagram
X(旧Twitter)

ステインハウスも引退

オランダの78kg級と言えば、私の中ではフッシェ・ステインハウス(オランダ)でした。「壁」を彷彿とさせるような大きな身体をいかし、安定して強かった印象。パリ五輪後からあまり大会で見ないなとは思っていたけど、ついに引退を表明しました。

そう、彼女も、もう33歳だったのです——。今、代わりに出てきているのが、リーケ・デルクス(オランダ)という選手。2023年世界ジュニア選手権で2位と好成績を収めた期待のホープで、その頃から私も注目していました。ステインハウス自身、長い間ライバルと切磋琢磨してきたから、もうやり尽くしたんでしょうか。投稿の中でも「トップスポーツから学ぶべきことはすべて学んだ」とありました。

また世代交代を目の当たりにして少し寂しい気持ちもありますが、彼女の次の旅を応援したいと思います。

【編集部補足】ステインハウスは長く2009年世界王者・マルヒンデ・フェルケルク(オランダ)と代表争いをしてきました。フェルケルクが一番手の時代が長かったため、なかなか五輪のチャンスが来ませんでしたが、東京、パリと2大会で7位に入賞しています。濵田尚里選手とは妙に相性が噛み合い、毎回熱戦になっていたことが印象的です。(小林)

フッシェ・ステインハウス(オランダ)

IJF公式プロフィール
Instagram

若手有望株シミンが初GS初メダルで「市民権」を獲得

3月にトビリシで行われたグランドスラムで、初出場ながら銅メダルを獲得したミハイロ・シミン(セルビア)。去年のグランプリ・リマで優勝した時、JudoTVが大会後の出場選手にインタビューするミニ番組「ゴールデンスコア」に呼ばれ、お喋りの才能を見せていました。今大会でも、その才能を十二分に発揮してくれました!

インタビューでは、57kgの強豪マリツァ・ペリシッチ(セルビア)がガールフレンドだと公言!グランプリ・リマ優勝後にアプローチされたらしく、「今はいつも一緒だ」というコメントも。もう完全にあてられちゃったよね。最後は、話が止まらなくて、インタビュアーのロビン・ウィリンガムが話をぶった切っていたのも面白かった(笑)。彼の話をもっと聞きたいので、是非活躍してまたゴールデンスコアに呼ばれてほしいです。

ちなみに「市民権」は「かじゅ100%」と共に、JudoTV日本語解説でお馴染み、金丸先生(金丸雄介)による『金丸語録』に収録されております。

【編集者追記(本川)】金丸先生は2008年の北京五輪73kg級に出場した元柔道選手。現在は、JudoTVや全日本柔道連盟ライブ配信での解説を行うなど様々な方面から柔道に携わっています。インタビューや解説ではキャッチーなワードセンスが度々話題に。『金丸語録』としてファンからも親しまれています。元々お話しの楽しい方ではありましたが「最近は(言葉の選び方に)磨きがかかっている…!?」と思うことも(笑)これからの解説も楽しみですね。

>>金丸先生のInstagramはこちら
>>金丸先生のX(旧Twitter)はこちら

ミハイロ・シミン(セルビア)

IJF公式プロフィール
Instagram

KINGS NEVER DIE

グランプリ・アッパーオーストリアに登場したバジーレ(ファビオ・バジーレ:イタリア)のインタビューが公開されました。

バジーレは2024年に頸椎を手術し、2025年グランドスラム東京で階級を上げて復帰。しかし初戦でジャック・ヨネヅカ(アメリカ)に敗戦。今大会も3位決定戦で、またしてもジャックに敗れ、成績はギリ入賞の5位という結果でした。

既に30歳を超えているバジーレ。彼が常に言っている「Kings never die」の言葉は超有名なようで、今回もJudoTVのミニ番組「ゴールデンスコア」でジャックがその事に言及していたし、欧州連盟のこの記事内でも触れられています。バジーレに話しかけるチャンスがあったときは、この言葉を是非使いたいな(笑)

次の大会は5月のグランドスラム・ドゥシャンベを予定しているそうで、その前に行われるヨーロッパ選手権には参加せず、同じ階級のロンバルド(マヌエル・ロンバルド:イタリア)エスポジート(ジョヴァンニ・エスポージト:イタリア)の応援をするとのこと(実際には両者ともに欠場したため、レオナルド・ヴァレイアーニとともにバジーレも大会に出場)。本人は今後について「『ロサンゼルス五輪を目指す』と明言はできない」と語っています。しかし私たちファンにとっての彼の魅力は「何を目指すか」だけではなく、「彼の生き方」そのもの。その不屈の魂が燃えている限り、彼は私たち柔道ファンを魅了し続けるでしょう。

>>ヨーロッパ柔道連盟によるバジーレの記事はこちら

【編集部追記】グランドスラム東京2025で彼にインタビューを行ったとき「日本についてどんな印象を持っていますか?」と聞いたところ、「日本は柔道発祥の国であり、尊敬する国です。それに私の親友の一人である橋本壮市がいる。彼は日本柔道史上の中でも最高な柔道家の1人だと思う」とコメント。続けてこんなことを言っていました。「今でも忘れられないのが2022年グランドスラム・パリの準決勝で戦ったときのこと。私たちは1つの技に対してそれを防がれ、さらに次の動作に対しても反応され、まるでドックファイトのような試合で完敗した。1時間後、私たちは一緒に飲みに行き、これぞ柔道の真の精神であると理解しました。畳の上では戦士、外では尊敬。ただし偽りの尊敬ではなく、真の尊敬です。だから私にとって橋本は友人であるだけでなく、兄弟なんです。私たちは本当に尊敬し合っています。私にとってすごく重要なことなんです。」(本川)

ファビオ・バジーレ(イタリア)

IJF公式プロフィール
Instagram

喪章を付けて表彰台に上ったジョージア勢

グランドスラム・トビリシの表彰式、喪章をつけて登場したマイスラゼ(ルカ・マイスラゼ:ジョージア)デメトラシヴィリ(イラクリ・デメトラシヴィリ:ジョージア)。JudoTVのミニ番組「ゴールデンスコア」にも2人そろって登場し、優勝したデメトラシヴィリも「今はお祝いはできない」と語っていました。

実はこの大会の3日前、ジョージアの強化チームたちとも縁が深い方が亡くなったようで、ジョージア選手たちが一斉にインスタグラムのストーリーで嘆き悲しんでいるのを見かけました。あまりにもショックを受けているその様子は「大会は開催されるんだろうか」と少し懐疑的になってしまうほど。

調べてみると、亡くなったのはジョージア正教会の総主教であるイリア2世(本名イラクリ・グドゥシャウリ=シオラシヴィリ)。葬儀への参列者は150万人以上だったようで、まさに国を挙げての葬儀だったよう。ちなみに埋め込んだInstagramの動画で葬儀車の手前にいるちょっと背が高い男性は、ラシャ・ベカウリ(ジョージア)です。

柔道を通じて、また違う世界を垣間見た出来事でした。

ルカ・マイスラゼ(ジョージア)

IJF公式プロフィール
Instagram

イラクリ・デメトラシヴィリ(ジョージア)

IJF公式プロフィール
Instagram

2029年世界選手権の開催地が決定

ロサンゼルス五輪の次の年となる2029年の世界選手権、開催地がジョージアのトビリシに決定らしい!!

今年の世界選手権はアゼルバイジャン、来年はカザフスタン。その後は未定で、五輪があって、その次にジョージアでの世界選手権。これらの国々の共通点——それは柔道の女子新興国!これはさらに女子柔道へのリソースが割かれるという確約であり、大変嬉しいニュースです!

今回のトビリシでもジョージア女子はかなりの人数が投入されていましたが、残念ながら入賞なしと少々厳しい結果…ちょっと悲しかったです。でも、あと4年。地元開催の時までには、もう少し女子の個人成績が良くなっていることを願ってやみません。

(何故か団体戦では女子が大活躍するんだけどねぇ)

ラファのJudoTVインタビュー

グランドスラム・パリで優勝したラファエラ・シウバ(ブラジル)。彼女の単独インタビューがJudoTVで公開されました。彼女はリオデジャネイロ五輪で金メダルを獲ったのですが、東京五輪にはドーピングの違反により出場できませんでした。パリ五輪では個人戦はメダルを逃すも、団体戦ではチームの銅メダル獲得に大きく貢献。その後、階級を上げて現役復帰し、苦労しながらもグランドスラムでの優勝を掴み取ったという鬼のメンタルの持ち主です。

インタビューでは、苦悩しながらも畳に立ち続ける理由をこのように語っていました。「自分が強いと証明するレベルには達していると思うが、まだまだ沢山のメダルが欲しいし、若い世代にインスピレーションを与え、自分たちブラジル柔道がどこまでも行けることを示したい」。こうやって話すラファの姿は、神々しくもあります。

まだロサンゼルス五輪までしばらくあるので、どこまで進化していくのか、目が離せないし、最高に愛すべき選手だと思っています。

ラファエラ・シウバ(ブラジル)

IJF公式プロフィール
Instagram

マイドフアカデミーは凄いぞ

毎年恒例、豪華なゲスト選手を呼んで盛大に盛り上がるネマニャ・マイドフ(セルビア)主催の柔道教室。今年のゲストには五輪2階級金メダルのルカシュ・クルパレク(チェコ)と、五輪2大会連続金メダルのラシャ・ベカウリ(ジョージア)が決定しているみたい。今後も、豪華ゲストの参加が追加発表される予定とのこと。

今年は7月31日から8月2日の3日間。受付は7月30日までなので、欧州を旅行する計画のある方は、是非参加してみて!

ネマニャ・マイドフ(セルビア)

IJF公式プロフィール
Instagram

ルカシュ・クルパレク(チェコ)

IJF公式プロフィール
Instagram

ラシャ・ベカウリ(ジョージア)

IJF公式プロフィール
Instagram

嬉しい復活

グランドスラム・トビリシで48kg級のタラ・バブルファス(スウェーデン)が見事銀メダルを獲得!

2024年パリ五輪での銅メダル獲得後、日本の那美ねぇ(鍋倉那美)がコーチについたものの、なかなか勝てない苦しい年を過ごしてきて、何気にとても心配していました。だけど、ようやく復活の狼煙をあげてくれたかな。

タラの活躍がそのまま評価につながるコーチというポジションにいる那美ねぇ。パリ五輪でいきなりメダルを獲ったということもあり、まわりの強豪たちも”タラ包囲網”を張り巡らせたのか、なかなか勝てず、選手が苦しんでいるのを目の当たりにしていたコーチも大変だったと思う。だから今回のタラの勝利は、2人のいろんな思いが想像できて本当に嬉しい。まだ先は長いけど、応援してます。

タラ・バブルファス(スウェーデン)

IJF公式プロフィール
Instagram

鍋倉那美

IJF公式プロフィール
Instagram
X(旧Twitter)

試合まで過酷な旅路

阿部一二三選手(パーク24)のYouTubeチャンネルで「タシケントまで日本から24時間かかった」という動画を見て「試合もあるのに選手たちは大変だな」と思っていたんだけど、上には上がいるもので、かなり大変な思いをして試合会場入りしている選手たちを発見しました。

それはグランドスラム・トビリシに参加したイスラエルチーム。現在、非常に難しい情勢にあるイスラエルの選手たちが、ジョージアまでの過酷な道のりをシェアしてくれました。今は空港が閉鎖されているらしく、船で出国、飛行機を乗り継ぎ乗り継ぎ、65時間かけてたどり着きました。過酷な旅ではあったものの、選手たちは逆にそれを楽しむことに決めたみたい。階級を下げたインバル・シェメシュ(イスラエル)は銀メダルを獲得しているから、本当に逆境に強いというか、逆手にとって楽しんだのが良かったのでしょうか。

まだまだ予断を許さない状況ですが、どの国の選手も、柔道を続けられる環境はそのままであってほしいと願うばかりです。

インバル・シェメシュ(イスラエル)

IJF公式プロフィール
Instagram

今回は以上!
次回もよろしくお願いします!

スポンサーリンク