【eJudo’s EYE】史上に残る名勝負、「受け切った」ことでゴール見出した村尾、失った斉藤/2022年度全日本学生柔道優勝大会(男子71回)早出し評

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文責:古田英毅 Text by Hideki Furuta
Photo: Inui Shinya / Henmi Masaya

ニュース記事からつづく)

村尾三四郎と斉藤立による代表戦。今後長く語り継がれるであろう名勝負だった。

「日本最強選手」である全日本選手権者が久々学生カテゴリに出現し、国士舘大がこの大駒・斉藤立を擁して実に13大会ぶり、悲願の日本一奪回を目指すというストーリーラインは間違いなくこの71回大会の主筋であった。そしてここに立ちふさがる壁が6連覇を目指す絶対王者・東海大。そのエースが、主将を務める村尾三四郎である。

村尾と斉藤という世代を代表するスター選手の存在、それぞれが東海大と国士館大という国内2大ブランドを背負うという構図、大将戦残り6秒での、それもピンポイント「技有」による代表戦突入・直接対決実現という舞台設定。上水研一朗監督が「夢物語」と評した通り、対戦の実現自体がすでに劇的。

そして総試合時間16分18秒にわたる緩みのまったくない投げ合い、死闘の末に待っていた全日本選手権者斉藤の「一本」陥落という決着。まさに史上に残る名勝負であった。

当初「一発投げを決めるというのは無理、いなしがら、掛けながらやり方を探そうと思った」という村尾。組み手も体捌きも、あわやという場面を作った投げも見事だったが、最大の勝因は「受け」にあった。

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