全日本柔道連盟が主催する第3回全日本ID(知的障がい者)柔道大会が、20日に、日本文化大學立志館(東京都八王子市)で開催された。
2017年にドイツで世界知的障がい者柔道選手権大会が行われたことをきっかけに設立されたこの大会は、コロナ禍による2年の中断を経て今回が3回目、3年ぶりの開催。
前日の交流練習会で体格、運動能力、理解・反映能力、柔道の技能などを見極めた上で選手をグループ分け。全国から集った45名が16のリーグに分かれて、技を競った。
ルールはこれまでと同様、IJFルールと世界大会のルールに、独自の工夫を加えて編まれた。「膝を着いて技を施すこと」「技を仕掛けたあとに相手の上に乗り掛かること」「後襟を握ること」「寝技で頸部を圧迫するような技・動作」「関節技・絞技」などを禁じて、安全性に最大限に配慮した。選手の柔道は、日頃からこのルールを意識して練られており、この日も互いに背筋を伸ばして組み合い、動きの中で相手を崩し、立ったまま相手を投げ、手を引き上げて受け身をフォローし合う、綺麗な柔道が繰り広げられた。
試合前には選手の得意技が紹介され、ボランティアが選手を試合場までアテンド。反則や技が無効であることの宣告はゼスチャーだけでなく「黄色の場所で試合をしましょう」「もっと技を掛けましょう」などとポジティブな語彙で説明が為され、技が決まるたび、試合が終るたびに皆が拍手。これまでと同様終始あたたかい雰囲気で大会が進んだ。クラス分けの結果人数が不足したリーグには、ボランティアとして日本文化大学の学生が参加。対戦相手を務めて、選手の良さを最大限に引き出した。
開会式では山下泰裕会長が「緊張せずに、楽しく、真剣に1日を楽しんで欲しい」と語り掛け、「われわれが目指すのは”Judo for All”」と気持ちのこもった挨拶。昼休みには視察に訪れた井上康生・ブランディング戦略推進特別委員長が要望に応じて急遽励ましのスピーチを行い、閉会式では野瀬清喜副会長が「このルールが世界のID柔道の標準になって欲しい」と語るなど、このジャンルへの連盟の力の入れようがうかがわれた。
この大会は、アジア・オセアニア選手権の選考会を兼ねる。競技力の高いカテゴリとされたC、G、J、K、Nなどのリーグから代表選手が選抜される見込み。
各リーグの入賞者は下記。
取材・写真:古田英毅
Text & Photo : Hideki Furuta
【参考】第1回レポート(2018年9月17日)※eJudoにログインの上でクリックください
入賞者
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