【直前プレビュー】軽量級は「コンディション命」、強豪たちの序盤戦に注目。髙藤はスメトフ、チフヴィミアニと連戦の厳しい配置も優勝が濃厚/タシケント世界柔道選手権2022・男子60kg級

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五輪金メダリスト髙藤直寿が、日本代表の先陣を切る。

エントリーは42名。シード順を決定する基準が、例年の「大会直前のランキング」から「7月のグランプリ・ザグレブ終了時のランキング」に急遽変更され、シード順も「概況解説・シード予想」で示した予想から大きく変わった。

優勝候補の髙藤直寿(パーク24)は第5シードに入り、順当ならば準々決勝でフランシスコ・ガリーゴス(スペイン)、準決勝でヤン・ユンウェイ(台湾)とイェルドス・スメトフ(カザフスタン)の勝者、そして決勝でルフミ・チフヴィミアニ(ジョージア)と対戦する可能性が高い。強豪の配置が上側に偏ったこともあり、出場者から想定されるなかでも厳しい組み合わせだ。とはいえそもそも髙藤の実力は突出しており、伍する力があるのは「好調時の」という条件節つきでスメトフとチフヴィミアニだけ。まずは序盤戦で、髙藤を含めたこの3者の調子を確認したい。

「GPザグレブ終了時点」のランキングが基準になった新シード順。髙藤がシード入りを果たした。

仮にスメトフ、チフヴィミアニが好調で勝ち上がってきたと仮定した場合。スメトフ戦は双方がスピードを生かした技の応酬、チフヴィミアニ戦は際(きわ)の返し技を狙うチフヴィミアニに対して髙藤が刃を入れるタイミングを探る我慢比べになると予想する。大枠としては東京五輪での両者との対戦と同じ構図。前述のとおりそれぞれのコンディションによって様相は大きく変わるが、もし東京五輪時と同じ展開となるならば、最終的には力で勝る髙藤の勝利に終着するはず。前回敗れているスメトフとチフヴィミアニがいかなる上積みを図ったのか、そして今回どのようなプランを懐に呑んで髙藤に挑むのか。この点に注目して観戦したい。なお、スメトフではなくヤンが勝ち上がってきた場合は、髙藤がそれほど苦労せずに勝利すると予想する。ヤンは柔道の緻密さが武器であり、いわゆる「破れ」や序列を大きく越える特殊な上昇装置はない。髙藤にとっては戦いやすい相手のはずだ。

有力選手の配置、各プールの勝ち上がり展望は下記。有力選手の特徴については「選手名鑑」を、勢力図については「階級概況」を、組み合わせ山組は公式サイトで確認のこと。

【プールA】

第1シードはヤン・ユンウェイ

第1シード:ヤン・ユンウェイ(台湾)
第8シード:カラマット・フセイノフ(アゼルバイジャン)
有力選手:アラン・クワバラ(ブラジル)、サミュエル・ハル(イギリス)エンフタイワン・スミヤバザル(モンゴル)イェルドス・スメトフ(カザフスタン)、マタン・ココラエフ(イスラエル)、セドリック・ヘヴォル(フランス)

ベスト8への勝ち上がり候補はヤンとスメトフ。ヤンは3回戦にエンフタイワン・スミヤバザル(モンゴル)との対戦があるくらいでベスト8進出は大枠問題なし。一方、スメトフは初戦の相手に2021年ハンガリー世界選手権3位のカラマット・フセイノフ(アゼルバイジャン)を引き、いきなり上位対戦レベルの大一番を戦うこととなった。フセイノフが「韓国背負い」の禁止によりここのところ目立った活躍を見せていないことから順当ならばスメトフの勝利と予想するが、フセイノフの長所は意外性。簡単にスメトフの勝利とはいかない接戦になるはず。ここでスメトフの調子が測れるはずだ。

準々決勝カードは順当ならばヤンvsスメトフ。この試合はヤンの持久力と寝技とスメトフの瞬発力の勝負となるはず。時間が経過するほどヤンに有利になると予想される。とはいえ、好調時のスメトフをヤンが抑えることは難しい。スメトフが低調ならばヤン、好調ならばスメトフの勝利と予想したい。

イェルドス・スメトフ

【プールB】

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