
エントリーは49名。シード順を決定する基準が、例年の「大会直前のランキング」から「7月のグランプリ・ザグレブ終了時のランキング」に急遽変更され、シード順も「概況解説・シード予想」で示した予想から大きく変わった。
優勝候補のラシャ・ベカウリ(ジョージア)は第5シードでプールB配置。そしてその初戦(2回戦)の相手を決める直下の位置には、なんと日本代表の増山香補(パーク24)が配された。どちらにとってもこれが最初の山場。増山にとっては間違いなく最大の勝負どころだ。
増山は2018年、2019年と2年連続で世界ジュニア選手権に出場。いずれもベカウリに敗れている。内容は2018年が「指導3」の反則、2019年が浮技「技有」を奪われた末の右小外掛「一本」。スコアだけを見ると大きな差があるように感じるが、「指導」に関してはどちらの試合も「指導2」で並んでおり、増山が得意の左背負投で大きく崩すなど、少なくとも十分に勝負になっているという印象だった。ベカウリのスタイルは、当時も現在も変わらず、釣り手で背中深くを抱いての密着。組み手は左組みの増山とはケンカ四つの右組みであり、担ぎ技主体で釣り手の操作が巧く、釣り手一本でも左背負投を打てる増山にとっては実は決して相性が悪い相手ではない。勝敗を分ける鍵は、いかに増山が担ぎ技を仕掛けられるか。そして、そのためにベカウリの強烈な引きつけを捌き、いかに自身が回転する空間を作ることができるかだ。つまり最前線は双方の釣り手側の間合いの攻防。まずは試合の序盤、どちらが釣り手の主導権を握るかに注目したい。

増山は過去、自身よりも先に世界で活躍し始めたベカウリをライバル視する発言をしている(初出は2019年の世界ジュニア直前、「戦いたい相手」と発言したときだったはずだ)。同世代、しかも直接対決を重ねた相手なのだから当然だろう。闘志むき出しの戦いが売りの増山が、この組み合わせに燃えないはずがない。増山ならばこの3年間、いつかやってくるリベンジの日に備えてベカウリ戦のシミュレーションを十分に重ねてきたはずだ。熱戦に期待だ。
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