【eJudo’s EYE】稚気愛すべし、王者・阿部一二三の「冒険」が次回に残した伏線/タシケント世界柔道選手権2022・早出し評

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66kg級、阿部一二三と丸山城志郎の世界王者2人が決勝で激突

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

阿部一二三vs丸山城志郎の「名勝負数え歌」ふたたび。大会期間中の早出し評ということで毎日各階級を簡単に総括していくべきなのだが、これ1試合で興行が成り立つレベルの「大ネタ」であり、これまでこのコラムが追い掛け続けて来た2人の対決ということもある。少しだけ、字数を割きたい。

「ライバルの存在」こそが強者の条件、隔絶した高みに登った2人

最初に触れるべきは、この2人がさらに強くなっていたこと。それも単に強度を増したのではなく、柔道自体の位相が上がっていた。進化していた。もともと互いがベースとする土台、そして想定する相手のレベルがとんでもなく高いので、これを乗り越えなければと互いがハシゴを掛け続けた結果、ともにこの2人以外には触るこの出来ない高みまで昇ってしまったという印象だ。準決勝までの2人の勝ち上がりは、まさしく圧倒的だった。

初戦、阿部は試合が始まるなり、右小外刈で崩す。かつては持ち込んだこと自体で騒がれた技が、「一本」を狙える武器として定着していた。
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