【eJudo’s EYE】「いつものやり方」で女王の座射止めた梅木、ワールドツアーで練った方法論と勇気が体重無差別の場で開花/第38回皇后盃全日本女子柔道選手権大会「評」

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文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

決勝の梅木。体重差30キロの児玉ひかるをがっぷり組み止める。

引き手で襟、あるいは深く上腕を持ち、釣り手を首裏に入れて肘を締める。この「抱き込み組み手」で互いの体を繋げると、揺すり出して僅かに隙間を作りながら、大外刈・足車に大内刈・内股と「内・外」を使い分けながら細かく探りを入れ、ここぞと見れば思い切った一撃を入れる。

かつて金丸雄介さんが「梅木ロック」と命名した、抱き込むような組み手からの強気の柔道。これは梅木の平時におけるやり口。ワールドツアー78kg級にアジャストした戦い方である。梅木はこの戦型を皇后盃の場で、階級が上の重量選手にも堂々繰り広げた。特別な皇后盃対策を持ち込んだわけではない。梅木にとってこの戦いかたは「平常運転」だった。そしてこの戦型は、ワールドツアーに皆勤(日本人選手の出場頻度からすればそう言ってしまっていいだろう)してパワー派打ち揃う78kg級の中で己の生き残る道を探って来た梅木の、現状の「答え」であり、最高到達点なのである。

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