グランドスラム東京2023、日本代表選手の採点表をお届けする。採点において最も重視するのはいつもの通り、「己の持てる力を発揮出来たかどうか」。
今回は五輪直前の特殊事情でジュニア選手が多数送り込まれたのだが、ほとんどが、綺麗に、シニアの壁に弾き返された。一種健全な結果である。そして上記の「己の持てる力を発揮出来たか」という指標に従い、例えば早々に負けたが実力をしっかり見せたジュニア選手のほうが、ある程度の成績を残したが内容の薄いシニア選手よりも点が高い場合がままある。あらかじめご了承願いたい。
少し横道に逸れるがもう1つ。壁に弾き返された形とはなったが、ジュニア選手への1枠付与、これ自体は悪手ではなかった。来年以降もし開催があるのなら、4枠最後の1つは育成枠としてジュニア世代に割り振る手もあると思う。ただし、レベル差のあり過ぎる舞台は決して栄養にならない。シニアの3番手・4番手育成というこれも大事な使命とのバランスを考えれば、条件は「世界ジュニア優勝」が適切と愚考する。
文責:古田英毅・eJudo編集部
60kg級
髙藤直寿(パーク24) 6.0
成績:2位
ホマン・ヴァラディエ=ピカール(フランス)に、イ・ハリン(韓国)と強敵を次々撃破。単に強いのみならず、伏兵アンドレア・カルリーノ(イタリア)に思わぬ肩車「技有」を奪われながら内股「技有」に浮落「一本」と逆転した底力、背負投系の中村太樹に内股を「掛けさせて」透かした驚異的なレべルの駆け引きと、持ち味をしっかり見せた大会だった。倒した相手の格も、技術の高さも文句なし。ただし全戦通じて、今シーズンの停滞の因となった受けの不安定さを払拭出来ず。最後は決勝で永山の左一本背負投に屈することとなった。5月のドーハ、8月のマスターズ、そして今大会を見る限り、最高到達点は高いのだがキープすることが難しくなってしまったという印象。ざっくり言って、結果はありうべき範疇に収まるものだった。五輪代表争いは、1年前のこの時点を考えれば少々考え難い結末に。あのドーハ世界選手権3位決定戦、金メダルがなくなった後、糸が切れたような緩い進退で落としてしまったイ・ハリン戦が運命の分かれ道だった。
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