取材・文:古田英毅・eJudo編集部
写真:乾晋也・辺見真也
連覇を狙った王子谷剛志(推薦・旭化成)は3位だった。大会前に右の肋軟骨を痛めて、実は代名詞の右大外刈が打てない状態。それでも「大外刈なしでも勝ち上がる技術力」(本人談)をテーマに準備を重ね、堂々準決勝まで進んだ。
かつての「生命線」が断たれた大ピンチで生きたのは、一昨年から新たな手札として磨いた左技。昨年優勝を支えた左一本背負投と「一本大外」に加えて、今年王子谷を助けたのは両手片襟の左背負投だった。3回戦はこの技で関根聖隆(近畿・日本エースサポート)から決勝点となる「有効」を奪い、準々決勝も西尾徹(近畿・大阪府警察)を2度大きく崩して、判定3-0の決定打とした。2回戦の美濃大将(中国・鳥取刑務所)戦では王子谷らしい浮落(支釣込足)から、逆回転の横崩しという寝技の冴えも見せて崩上四方固で一本勝ち。昨年と同様、延岡に拠点を移して以来積み続けた新たな技術が支えた3勝だった。
準決勝は中野寛太(近畿・旭化成)の左内股フェイントに透かしを狙った瞬間、左小外掛を合わされて一本負け。連覇はならなかったが、「やられたまま終えるのは納得がいかない。借りはしっかり返したい」と語り「来年の全日本選手権でまた皆さんに会いたいと思います」と現役続行を明言した。新たな手札・左背負投については「思いのほか効果があった」とのこと。10月に第2子の誕生を控え、意欲も十分。31歳・王子谷の進化はまだまだ止まらない。
王子谷の談話は別掲。
【王子谷剛志・この日の4試合】
【2回戦】王子谷剛志○崩上四方固(3:02)△美濃大将(中国・鳥取刑務所)
【3回戦】王子谷剛志○優勢[有効・背負投]△関根聖隆(近畿・日本エースサポート)
【準々決勝】王子谷剛志○優勢[僅差3-0]△西尾徹(近畿・大阪府警察)
【準決勝】王子谷剛志△小外掛(0:36) 中野寛太(近畿・旭化成)
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