文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta
アジア競技大会・杭州の日本代表採点表をお送りする。まずは男子から。採点で最も重視するのは常の通り「己の持てる力を出せたかどうか」。団体戦を含まず、個人戦のみで採点した。
男子は7階級で金メダルが1つのみ、4階級でメダル逸。厳しい結果だった。正しく力を反映した結果だと総括出来るのだが、他国に比べて日本代表が「弛んでいた」という印象は否めない。「アジア版オリンピック」のプレゼンスは他国では、極めて高い。優勝に兵役免除が掛かる韓国、地元開催の中国、1番手を惜しみなく注ぎ込んで来たウズベキスタン、成績を残すことが人生掛かった「義務」である移籍選手が揃ったUAE。どの国の選手も必死だった。力足らずともなんとか勝利を得んとガッツをむき出しにする彼らに比して、わが国の選手にはどこか「足し算」の雰囲気があった。ぎりぎりの場面でこの差が出た、という観察は、全体評としてまず言っておきたい。
重量3階級に関しては残念というほかはない。結果も内容も非常に悪かった。天邪鬼だが、ここまで負けたのなら団体戦もキッチリ負けて『負けムード』で帰って来たほうが良かったとすら思う。団体戦の金メダルで有耶無耶にせず、「弱い日本」という現実にまっすぐ立ち向かって欲しい。
男子日本代表選手採点
60kg級 近藤隼斗(国士舘大4年) 5.0
成績:7位
研究されていた。同じ相手に2度負けるわけにはいかなかったヤン・ユンウェイはもちろんのこと、すべての相手が近藤の内股、出足払、そして独特の隅返が「ある」前提で柔道を組み立てており、モーションを起こした時点で対処に動いていた。優勝するだけの力はあったが、「いつもの自分を出す」だけでは厳しかった。国際大会の出場がさほど多くない近藤にしてこの丸裸状態。パワーでも技の密度でも組み手でも、どこかのパラメーターで相手の予想を1つ超えないと勝ち抜けないここ一番の大会の怖さ、そしてアジアの軽量級のレベルの高さが染みた1日だった。初めての大舞台の初戦で戦う相手が、パワーがあってなかなか飛ばない中東選手というのも日本代表にとっては既視感あり。こういった巡りも悪く、ペースに乗れなかった。
66kg級 田中龍馬(筑波大4年) 6.5
成績:優勝
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