【月刊・嘉納治五郎師範のひとこと】第130回「正しきを行って屈せぬこそ、講道館柔道修行者の真骨頂ではないか。」

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月刊・嘉納治五郎師範のひとこと
月刊・嘉納治五郎師範のひとこと

「正しきを行って屈せぬこそ、講道館柔道修行者の真骨頂ではないか。」

出典:「中央講道館有段者会記事」 作興6巻9号,昭和2年(1927)9月 (『嘉納治五郎大系』未掲載)

柔道に限らず、様々な武道、芸道、スポーツ等で利用されている「段位」ですが、講道館の段位のほとんどは、全国に110ある推薦権を持った団体(段位推薦委託団体)を通して行われます(講道館の段位制度については講道館公式のこちらの動画https://www.youtube.com/watch?v=8tc-kSKuub8が分かりやすくまとめられています)。

講道館では、年に1回、段位推薦委託団体の会長を集めた会議を開催していますが、師範の時代も、同様に各地の有段者会(現在の都道府県連盟の前身のひとつ)の代表が集まり、柔道の普及振興のため、会議を実施していました。今回の「ひとこと」は、白熱化した会議中に、思わず出たであろう師範の言葉です。

当時、全国各地から集合した代表者は、どのようなことを話し合ったのでしょうか。

1.柔道教師の(質の)向上を図る方法
2.各地の有段者会をさらに発達させる方法
3.(同時、実施していた各地の有段者の実力を均等化するために行ったいた試合について)他に良い方法があるかどうか。
4.全国大会の実施について

以上は、講道館からの協議事項です。
さらに、各地の代表からも議題が提出され、活発な議論が行われました。他にも各地の現状の報告や、上記3の試合も含めて、その期間は実に4日間にわたっています。

そんな中、会議上で話題となったのが「審判規程」でした。
多すぎる「引分」への対策から始まった議題(※)でしたが、次第に話題は審判規程に移ります。当時、俗に言う「高専柔道」がすでに盛んであり、講道館とは異なる規程で行われた試合も少なからずあったようです。そのことに関係して、参加者の1人(A氏としましょう)から、対校試合の審判を頼まれて他県に行ったら、講道館の規程ではなく、高専ルールでやることを要請されて困ったという事例が報告されたところから、会場に不穏な空気が漂い始めます。結局、A氏は両方の規程で試合を行ったようですが、大変だったため、規程を統一してほしいと希望を出します。

そこで嘉納師範は「なぜ、その規程による試合に応じたのか」と応じ、続いた言葉が、今回の「ひとこと」です。
この後、どうなったでしょうか。

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