令和4年全日本柔道選手権予想座談会①「今年度大会のみどころ、私の注目選手」

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令和4年全日本柔道選手権大会の開幕がいよいよ今週末、29日(金祝)に迫った。久々の有観客、そして待望の日本武道館開催である。
eJudoでは今年も恒例「予想座談会」を企画した。おなじみの識者たちを招き、1回戦から決勝までを大胆に予想し、みどころを語り合う。勝ち負けの「外れ」は織り込み済み、全日本を楽しみ尽くすガイドとして存分にお楽しみ頂きたい。

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全日本選手権が日本武道館に帰って来た。

古田 恒例のeJudo版「全日本柔道選手権予想座談会」を開催いたします。今年もおなじみのメンバーにお集まり頂きました。皆様、宜しくお願い致します。

朝飛西森 よろしくお願いします。

古田 読者の皆様にはもう必要ないかもしれませんが、あらためてメンバーを簡単に紹介させて頂きます。

朝飛大 朝飛道場館長、慶應義塾大学師範。日本を代表する指導者であり、少年柔道指導の第一人者。自身も昭和60年大会に出場、世界選手権100kg級の覇者羽賀龍之介をはじめ多くの教え子を全日本選手権の場に送り込んでいる。令和2年大会からは全日本柔道連盟LIVE配信の解説にも携わる

古田 朝飛先生は日本を代表する指導者で、全日本選手権にも多くの選手を送り込んでいます。教え子の羽賀龍之介選手は一昨年大会で優勝、昨年は準優勝を果たしました。そしてご自身、さらにお父様の朝飛速夫氏もかつてこの大会に出場しており、ひときわ「全日本」に縁の濃いかたです。

林毅
もと「近代柔道」誌編集責任者。30年以上にわたって大会を直接取材し、全日本選手権プログラムの編集に20年以上携わっている。書籍「激闘の轍・全日本柔道選手権大会60年の歩み」では企画・編集を務めた。

古田 林毅さんはもと「近代柔道」誌編集責任者で、全日本選手権のプログラムを20年以上にわたって、もちろん今年度大会も編集に携わっておられます。読者の皆様はご存じのことと思いますが、全日本選手権のプログラムは他の大会とは一線を画する濃い「読み物」。私も毎大会、試合が始まるまでのひと時、これを読むのをとても楽しみにしています。林さんは注目選手のインタビューも直接手掛けていらっしゃいまして、今年はなんと9人を掲載されるとのこと。ぜひそこで得た情報もご披露くださればと思います。

西森大
NHK松山放送局・報道番組チーフ・プロデューサー。業界では希代の柔道マニアとして名高い。「NHKスペシャル 日本柔道を救った男~石井慧 金メダルへの執念」、「アスリートの魂 どんなときも真っ向勝負 柔道 大野将平」などを制作。2016年からは全日本柔道連盟広報委員も務める。

古田 西森さんはNHKで長年取材の最前線で活躍して来られて、ご自身も実業団チームの監督兼選手という柔道家でいらっしゃいます。近年は、林さんとともに全日本選手権パンフレットで「全日本選手権を彩った名選手たち」のコーナーを担当、往年の名選手たちの全日本選手権にかける思いをインタビューされています。皆さん私が足元にも及ばぬ柔道マニアであり、ひときわ「全日本選手権」という価値に感度高い方々、今年もよろしくお願い致します。

古田英毅 HIDEKI FURUTA
司会 古田英毅
eJudo編集長。全日本柔道選手権では令和2年大会から全日本柔道連盟LIVE配信の実況・解説を務める。

令和4年大会に掛ける期待

写真は平成31年大会の開会式。今回は以来、3年ぶりの日本武道館開催となる。

古田 今年も1回戦から順に全試合を予想していくのですが、それに先立ちまして。まずは令和4年度全日本選手権大会に掛ける期待、見どころというところで1人ずつお話頂きます。西森さんからお願いしてもよろしいでしょうか。

西森 はい。今回はまず3年ぶりに日本武道館で開催出来るということ。これは出場する選手にとっては非常に大きいと思います。同時に有観客ですね。日本武道館で開催されて、さらに観客もいるということで、これが選手たちをどのように後押しして奮い立たせてくれるのか、楽しみです。次に、12月から実質4ヵ月での開催となったわけですが、前回は2年連続同じカードでの決勝で太田彪雅選手が優勝、羽賀龍之介選手が2位。この短い期間で2人の力関係がどのように変わって来るのか、ここは非常に興味深い。そして最後はやはり斉藤立選手の存在ですね。3月の東京予選では素晴らしい勝ちぶり。今月頭の全日本選抜体重別でも、去年の世界大会チャンピオンの影浦心選手に凄く良い勝ち方をした。去年の全日本王者の太田選手との対戦は結果的に両者反則負けとなりましたけれども、逆に言うとそれぐらいの力を示したということでもあります。この斉藤選手が優勝争いに絡んでくるのかどうかに、注目したいと思います。私からは以上です。

古田 ありがとうございます。林さんお願いします。

林 皆さん感じていらっしゃると思いますが、今回はまさにオールスター戦です。物凄い陣容だと思います。ベテランあり、若手あり、中堅どころの実力者あり、さらにオリンピック金メダリストの大野将平選手、高藤直寿選手。個人のメダルこそありませんが、オリンピック代表の向翔一郎選手、原沢久喜選手も参加します。どこを見ても見どころと言っていいくらいのトーナメントになっていると思うんですね。とにかく楽しみしかないトーナメントだな、というのが率直な思いです。そしてやはり西森さんが言ったように、日本武道館であるということ。選手たちに話を聞いても「日本武道館であるということ」に皆さん非常に意義を感じています。あとは有観客という部分。チケットは、講道館で販売している分に関しては、もう何もない状態です。「チケットぴあ」での販売分が多少あるのかどうかというくらいで(アリーナ席は完売)、まったく券が足りていない状態。関係者にもチケットが十分回っていない状態です。プレミアチケットですね。今年は久々大会前日に全国高段者大会があるのですが、こちらにかなりの出場者があるようです。出場者には全日本選手権の入場券が配布されますので、地方の先生方が高段者大会に出て全日本を見るという、年に1度のお楽しみのツアーも復活します。3年間待たされたことにふさわしい、凄いトーナメントが見られるのではないかと思います。

古田 ありがとうございます。朝飛先生お待たせしました。

朝飛 いまお二人がお話されたことでもう十分以上、ここから差し込むところはないというところなんですが(笑)。講道館は無観客で観客席も近く、息遣い、足さばきの音まで聞こえる独特の空間でした。今度は観客の「声」が試合を盛り上げてくれますね。日本武道館は選手が技を決めた時の歓声が凄い。今大会は声を出しての応援は禁じられていますが。集まる視線、息をのむ気配、そして拍手、この日本武道館独特の「声」を、自分のものに出来るか、またプレッシャーに感じてしまうかというのは1つみどころになると思います。そして林さんおっしゃる通り今回はオールスター戦。オリンピックのチャンピオン、世界選手権のチャンピオン、前回・前々回の優勝者、すべてが揃いました。最重量級の世界選手権代表選考も兼ねる試合でこの陣容ですから選手にとっては本当にシビアな戦いと思いますが、見ている方としてはもう、どのブロックも楽しみな試合しかない。しかも日本武道館開催で、本当にワクワクする大会だなと思います。

古田 この面子で日本武道館ですからね。楽しみしかありません。

朝飛 本当に楽しみです。

古田 声。2019年の世界選手権が日本武道館で行われたときに、全日本選手権のような1つ1つの技にワッと沸いて、日本人選手でなくても拍手を送るというあの空間が出来ていた。海外選手から「観衆に感動した」というコメントがら相次ぎました。もちろんビッグイベントゆえ見上手のファンが会場まで足を運んでくさったというのはあるんでしょうが、やはり日本武道館という場には見るもににそれをさせる何かがあるのでしょうね。これは、本当に楽しみになって来ました。

令和4年大会の注目選手

古田 既に何人か選手の名前が挙がってはいるのですが。続いて、おひとりずつ「今大会の注目選手」を挙げて頂きます。おそらく今回は皆さん、全員が注目だ!くらいに語りたい選手がたくさんいると思いますので、涙を呑んでこちらから制限を掛けさせて頂いて。敢えて、1人に絞って挙げて頂きたいと思います。では、朝飛先生からお願いします。

斉藤立

朝飛 2年連続で決勝を戦った2人がおり、また羽賀選手に関しては昨年戦える状態ではない中でも決勝に進み、そして4か月後の選抜体重別も優勝して本当にすごいなと思うのですが。ここは斉藤立選手を挙げたいと思います。先ほど西森さんが言われたとおりで、いま非常に良くなっている。粗さがなくなって来ました。以前はきちんと組んで力がぶつかりあえば強さが表現出来る一方で、この粗さゆえ、かわしてきたり組まない相手に対してはなかなか良さを見せることが難しかった。それがあの選抜体重別、世界チャンピオンの影浦選手とやった試合は隙がなかった。最後まで決め、抑えるところまでしっかり出来ていました。本当に別人になったのではないかと思うくらいです。既に東京予選で一皮剥けたと思っていましたが、選抜体重別でさらにもう一皮剥けたのではないかというくらいです。これまで比較的苦手にしていた動く相手に対しても、しっかり力を発揮してくれるのではないかと思います。

古田 朝飛先生は東京選手権(東京予選)は見られましたか?

朝飛 映像を後から見ました。出足払など、足技も巧かったですね。

古田 選抜体重別のプレビュー記事でも書かせて頂いたのですけど、あの東京選手権を見てしまうと、そのあと影浦選手に一本勝ちするのはまったく驚きではないですよね。順当に行けば当然勝つだろうと思えるだけの強さでした。

朝飛 わかります。

東京選手権決勝、斉藤立が松村颯祐から足車「一本」

古田 また今までの斉藤選手と違うなと思ったのは、柔道もきちんとしているんですけど、試合後のコメントが良かったんですよね。非常に言葉を獲得している。自分の柔道をしっかりやれば誰にも負けないというのですが、そこで「自分の柔道」は何かと聞くと、きちんと具体的なビジョンが出て来る。その中で「手首を立てて」「お腹を出して」「腰から寄る」と、幾度も出て来る表現から何をポイントと考えているかがわかります。そしてそれが的確です。…東京オリンピックで勝った選手は、代表になり、五輪に勝っていく過程でみな物凄く言葉を獲得したんですよね。インタビューで駆使する語彙も話の筋道の立て方も、それ以前とはまったく変わった選手がたくさんいます。それは自分を見つめて内省を重ね、自己理解を高め、いかに勝つべきかを細部まで突き詰めたからだと思います。使う言葉というのは、柔道の解像度に直結しているんですよね。一方なかなか強くならなかったり競技成績が頭を打つ選手って、散文的で抽象的なことしか言えない選手が多い。こういうところからも、斉藤選手はもう別のステージに登ったなと思います。

朝飛 本当ですよね。両者反則負けはありましたけども、相手は全日本のチャンピオンですからね。

古田 斉藤選手の強さは、たとえば100kg級の選手だったらスタンダードな方法論を、あの肉体でキッチリ出来ること自体にあります。ただそこにある160キロは怖くないですが、もっとも力の出る技術を駆使して肉体をぶつけて来る160キロは誰にも捌けない。あの体で100kg級のトップ選手に近い解像度で柔道して、下手に掛け潰れたらいまや寝技の精度も凄い。ちょっと手が付けられなくなってきました。

朝飛 いやもう、本当に楽しみです。

林 ちなみに、斉藤立選手。…古田さん、のっけからですが、ここで入れていいですか。

古田 どうぞどうぞ。どこで出て来るかだけの話ですから。

林 斉藤立選手は、11月の学生体重別団体で怪我をしましたよね。膝の靭帯損傷。そこから練習に復帰したのは2月の末なんですよ。斉藤選手自身が、自分で残しているメモを確認して教えてくれたのですが「2月28日」だということなんです。

古田 東京選手権は3月13日。2週間しかない。

西森 それであのパフォーマンスですか。

林 さすがに驚きました。

古田 ちょっと信じられない。

林 それと、怪我で立ち技が少し怖くて出来ない期間があり、そこでずっと寝技の練習をしていたそうです。今までは立技があるからということもあり、また寝技に自信がなかったこともあって、試合ではなかなか寝技には行かなかったんだけど、今回少し練習をして、東京選手権で試してみたら掛かったと。古田さんから試合の評を聞いていたので「寝技の評価めちゃめちゃ高いですよ」という話をしたら「ありがとうございます」という感じですから。ちょっと逸材どころの話じゃないですね(笑)。

古田 想像以上です。

林 お父さんの斉藤仁さんが、膝がボロボロになって最後は寝技を勝ち筋に定めた、投げることが出来なくても押して押して、最後は崩して寝技で決めたという話もちょっと振ってみました。お父さんも特にケガをしてからは寝技を物凄く練習したんだよ、と。「それは僕も聞いたことがあります」と。そして「今は寝技でも自信がもてるようになってきた」と。彼に寝技が備わったらこれは強いですよ。

古田 担ぎ技の選手は、あの寝技があったら斉藤選手に担ぎ技をかけることすらできないと思うんですよね。また、あの釣り手の重み。金野潤さんが試合を見ながら「あれはきついな。乗せられているだけで本当に疲れるんだよな」とボソっと呟くのを目撃しました。

西森 この2年間、特に去年の全日本選手権を勝った太田彪雅選手の強みは、釣り手の強さ。実に巧みで、しかも重い。しかし選抜体重別の斉藤選手の戦いぶりは、それに匹敵する、下手をすると上回るくらいの重さを感じさせられましたよね。

古田 「釣り手対決」があの選抜の見どころでしたが、まったく負けていなかった。あの太田選手の鉄壁の釣り手と、斉藤選手の重たい釣り手が張っていた。いや、これは斉藤選手楽しみです。林さん、貴重な情報をありがとうございました。

林 すみません。のっけからこれでは前に進まなくなっちゃいますね(笑)。

古田 いや、この座談会はこういうものですから。たぶんここで話さなくても後から出てくるので、どこで話すかだけの違いです。

朝飛 あとで、お父さんの斉藤仁先生の話をします。話したいことが山ほどあります(笑)

古田 これは楽しみです。今日も長期戦を覚悟、大歓迎です(笑)。それでは続いて、林さんの注目選手をお願いします。

上川大樹。今大会で10回目の出場となる。

林 僕は変化球と言いますか、上川大樹選手でお願いします。

一同 おー!(沸く)。

林  今回、実は彼は10回目の出場です。

古田 10回出場者ということはプログラムにインタビューが載りますから、林さんは直接ご本人から話を聞かれているわけですね。

林 はい。今回の10回出場は上川選手と王子谷剛志選手。2度にわたって決勝を争った2人が、ともに区切りの大会を迎えるという、非常に良い組み合わせですよね。お二人いずれにもこの話を振っています。とても喜んでいて、上川選手の方は「2回とも王子谷に負けて、1回くらい勝たせてくれればいいじゃないか、と思ってましたよ」と。彼らしい、ユニークな回答ですよね(笑)。

西森 それ、朝潮が千代の富士に言っていたやつですね(笑)。

一同 (笑)。

古田 戦ったものに対する親愛も感じます。

林 あと、明治大学の先輩でもある上村春樹講道館長には「一度優勝を逃すと勝てないぞ」と言われ、本当に勝てなかった」という話をしてました。その上川選手なんですけど、彼、背中に脂肪か何かが付いてしまい、それを除去する手術を受けたそうなんです。それで大分動けるようになったので今年の予選にも出て来たと。そして見事に勝って、本戦まで来てくれました。ただ、練習は全然出来ていないそうです。刑務官ということもあって、コロナには絶対に罹れない。刑務所の道場だけの稽古で、練習相手は1人だけ。多いときでプラス1人の計3人。相手は体重90㎏ないくらいで43歳のコーチということで、練習も1日1時間ぐらいとのこと。試合について話を聞こうとしたら「え?僕に試合のこと聞くんですか?」と言うんですよね。いつもの通り、順番に対戦予想を聞こうと思ったら「それを僕に聞いても無駄ではないですか?」と。とは言いながら「1回くらいは良いところを見せたいですよね」とも話してくれました。それが中野寛太選手との試合ですよね。まさに新旧・本格派対決。

古田 そして、足技の巧者同士の対戦でもありますね。

林 はい。だから中野選手がもし、真っ向勝負を挑んだら逆にどうなるかわからない。そんな気がしますよね。そういう想像力を掻き立ててくれるようなキャラクター性も含めて、頑張って欲しいなと思います。勝てばその次は羽賀選手との対戦になるので、これは少し厳しいと思いますけど。

古田 でも、林さん。あの上川選手がその環境から全日本に出てくるとは。実に味のある選手になりましたね。ちょっと私、感動しましたよ。

朝飛 2010年の世界チャンピオンですね。全日本チャンピオンにはなっていませんが、あのリネールを倒した世界チャンピオンですからね。

古田 はい。テディ・リネールを倒した男が稽古相手1人だけで、1日1時間の練習でそれでも全日本の晴れ舞台に出てきて、そして我々ファンにこれは上川はやるんじゃないかと騒がれる。こんな素晴らしいストーリーがありますか。なかなかありませんよ。

林 予選に出ると言ったら、後輩たちから「上川さん出るんですか?」って、みんなに嫌がられていたらしいですよ(笑)

古田 貴重な1枠ですからね。福本翼選手と上川選手で決勝をやったわけで、中国地区予選のハードルはかなり高いですよ。

林 ちなみに、朝5時に起きて5時半には家を出て、6時から勤務するという毎日だそうです。品行方正な生活を送り、外に出ることもない。練習が終わったら毎日家に帰って朝起きて出勤、という日々だそうです。

古田 これまでのキャリアでもっともストイックな生活なのでは。

朝飛 中野選手は真っ向勝負しそうですから、面白い場面が出る可能性がありますよね。楽しみですね。

林 長い試合になったら厳しいでしょうけど。

古田  そのあたり、1回戦のところでもお話しいただけると思います。林さんありがとうございました。ではお待たせしました、西森さん、注目選手1名をお願い致します。

大野将平。東京五輪代表選手の推薦枠を駆使しての出場。

西森  のっけのところでは斉藤選手という話をさせて頂きました。優勝に絡むという意味ではそうなんですけど。この全日本選手権での存在感ということで言いますと、やはり大野将平選手を挙げたいと思います。今大会前、本人が囲み取材をを受けたりとかそういった情報が今の時点ではありませんので、逆に並々ならぬ気持ちで臨んでくるんじゃないかという気もしています。過去2回出場。全日本選手権というものに対する思いが他の選手以上に大きい選手ですから、オリンピック2連覇を果たした後の今大会をどういう思いで臨むのか。これまでと違う気持ちで臨むのか、どういう試合を見せてくれるのか。非常に楽しみです。

古田  ありがとうございます。大野選手がオリンピックで2連覇を決めた時、日本武道館の天井を見上げて「もう何度この風景を見れるか分からないから見ておこうと思った」という名ゼリフがありましたけど。そういう意味では、どんな表情、たたずまいで全日本の畳に立ってくれるのか、もう入場から大注目ですね。

林 その大野選手にも話を聞いています。詳しくは、これは1回戦のところでお話しますね。

古田 その話を林さんに聞くのは今日のメインディッシュでもありますから、本当に楽しみです。…では続いて、1回戦から順に全試合について語っていただきます。

東京五輪金メダル獲得直後、日本武道館の大天井を見上げる大野。

(②一回戦(上)につづく)

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