【eJudo’s EYE】すべてが詰まった戦型変更、「両襟」が勝負を分けた/令和4年全日本柔道選手権「評」

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文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

すべてが詰まった「両襟」選択、これが勝負を分けた

初優勝を決めた斉藤立
斉藤立優勝。160キロを超える巨体であの運動能力の高さと柔らかさ、そして準決勝と決勝で見せた凄まじい執念。王者の座を掴むにふさわしい戦いぶりだった。勝利を考える上で彼の「高い資質」や「精神的成長」というファクターは試合を見た誰の目にも明らか、そして多くの評者が既に語っていると思うので、ここでは戦術面の話をしたい。戦術選択が見事だった。踏みつぶされていたホースの先が開き、高い水圧が抵抗器なしにまっすぐアウトプットされることとなった。しかもこの選択自体が、彼の技術的な進境・精神的成長を雄弁に物語るものであった。勝因の第一として挙げるに妥当であると思う。
 
具体的には決勝の中途で組み手を「両襟」に変更したこと、幾多の誘惑に負けずこれを貫いたこと。もしもセオリー通りに、そして一般的には最も良い形とされている引き手で袖を持つ形のままで試合を進めたら、ほぼ間違いなく勝者は影浦だった。引き手で襟、あるいは腋下を持った「両襟」をしつこく貫いたことが斉藤勝利の最も大きな要因だ。
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