⑤三回戦/令和4年全日本柔道選手権大会振り返り座談会

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令和4年全日本柔道選手権振り返り座談会(朝飛、上水、西森、古田)
座談会は5月3日、4日にオンラインで行われた。右上から時計回りに西森大氏上水研一朗氏朝飛大氏、司会の古田

(④二回戦(下)からつづく)

三回戦

太田彪雅(推薦・旭化成)○横四方固(1:36)△千野根有我(関東・筑波大4年)

太田彪雅が片襟の右大内刈の形から押し込んで「有効」

ともに右組みの相四つ。千野根引き手で腋を掴み、釣り手は前襟。釣り手の肘を上下に振ることで太田の絞りを剥がし、思い切った右大外刈を見せる。太田は慌てず、こちらも引き手で襟を掴むと横変形に位置取りを変えてじっくり対峙。千野根は釣り手の低さを肘を上げることでカバー、またもや右大外刈に乗り込むが太田は二本持ったまま弾き返して動ぜず。1分過ぎ、太田が釣り手を片襟に差して右大内刈。右大外刈を空振りして、振り戻す足をそのまま内側に掛けた格好。よどみない動きで上体を背負投様にまとめて押し込み、右後隅に転がして「有効」。そのまま横四方固に抑え込んで合技「一本」。太田は前戦の停滞から抜け出す見事な一本勝ち。(戦評・古田英毅)

古田 続きまして、ここから3回戦。第32試合、太田彪雅選手と千野根有我選手の試合です。朝飛先生からお願いしてもよろしいですか。

朝飛 千野根選手、今日はここまで素晴らしかった。2試合とも内股を決めて勝ち上がって来ました。1回戦は切れ味のある内股…古い話になるかもしれませんが、中学生のときに斉藤立選手を綺麗に投げたことを思い出しました。そして2回戦はケンケンで相手の崩れている方向に投げるところも見せてくれさて、これは太田選手に対してどのような戦いを見せてくれるのか期待があったのですが、ここは太田選手が巧かった。相手の釣り手を落として、少し入りづらいと見たか、片襟の背負投と大内刈が混ざったような、ここからケンケンをしていれば内股になるような技で投げました。相手の足の位置や重心をしっかり見て、効く方向に最後まで追いかける、そして足を抜く技術。執念深さが優ったんだなという感じでした。しかし千野根選手はまだまだ伸びしろがあります。いつでも上位の争いに入ってきてほしいなと思います。その伸びしろ、寝技を強化することも大きなポイントになってきますね。ただ、ポテンシャルの高さといまの成長ぶりを存分に見せてくれた3試合でした。

古田 ありがとうございます。西森さん、お願いします。

千野根は思い切った大外刈で先制攻撃
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