【レポート】東海大に「不思議の勝ちなし」、勝つための論理突き詰めた姿勢に凱歌/全日本学生柔道優勝大会(男子70回)マッチレポート④「評」

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決勝は5-0、大差で東海大の勝利となった
決勝は5-0、大差で東海大の勝利となった

日時;2021(令和3)年11月13日~14日
会場:千葉ポートアリーナ(千葉市)
文責:古田英毅

③決勝レポートからつづく)

■決勝評 的確過ぎるワンショット処方、「先鋒・安部」策が力引き出す

【決勝】
東海大 5-0 筑波大
(先)安部光太○腕挫十字固(1:38)△田中航太
(次)中村雄太○大外落(3:11)△千野根有我
(五)石川智啓×引分×阿部拓馬
(中)村尾三四郎○内股(0:25)△戸高淳之介
(三)鈴木直登○合技[隅落・裏投](3:38)△日野山剛
(副)松村颯佑○裏投(2:26)△長谷川功斉
(大)中島大貴×引分×関根聖隆

先鋒・安部の勝利ですべてが決まったと言っていい試合。以後の盤面全てを東海大にとっての「表」に規定、両軍全員の振る舞いを決定づけた。得点計算的にはもちろん、早い時間の「一本」というインパクトによる士気の醸成(筑波大にとっては精神的なダメージ)も大きかった。東海大にとっては勝利が「あと少し手を伸ばせば届く」極めて現実的な目標となり、筑波大にとっては何か大きなことを2つ、3つと重ねなければならない、個々1人1人の力ではコントロール出来ない彼方側に落ちてしまった。戦力に勝る東海大の地力がまっすぐ発揮されるフィールドがこの試合で出来上がった。順行運転が出来れば優勝間違いなし、総合力ナンバーワンの東海大に、これを発揮させる起動スイッチである異端の寝業師・安部の存在。終わってみれば「先鋒・安部」はこれ以上ない必殺の策だった。戦後、上水監督が「今回のテーマは安部。安部をスターターに据えることこそがポイント」との旨語ったことはまさに納得。準々決勝の天理大戦で、「局面ごとにはさほどの差がないが、スコア的には大きな差がついた」旨書かせて頂いたが、つまりはこれも、安部という着火装置の存在の差が、スコアに反映されたということだろう。準決勝、安部に代わって出た先鋒で出動した笹谷健はしっかり仕事を果たし、手堅く引き分けて試合を作ったが、後衛はここまで爆発力のある試合は出来なかった。上水研一朗監督が「4年生が大人しい」と語る今代にあって、安部で着火、以降で爆発というこの戦型は、適切というような生易しいものではなく、むしろ「これしかない」という形だったのかもしれない。

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【全4,321文字】

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