「金銭は元来心身の力を使用して得た一種の生産物であって、心身の力の変形と見做しても差支えないのである。よってこれを有効に使用せぬことは心身の力を有効に使用せぬのと同じことである。」
出典:「柔道会の事業」柔道1巻5号 大正4年(1915)5月 (『嘉納治五郎大系』1巻127頁)
今回の「ひとこと」は有り体に言えば「お金」についてです。
「教育者であり、柔道家である嘉納師範がお金のことを言うなんて・・・」と違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。「教育」とお金と結びつけることを厭う文化というものでしょうか。ただ、師範も「道は金と交換にこれを授くべきものではなく」と述べ、講道館は授業料(入門料や道場の維持費は別)をもらっていないと言っています。
今回のテーマはお金の使い方です。
お金を生み出すという経済活動が、人間の活動である以上、我々は必ず心身の力を使うわけですから、金銭が心身の力の変形と見做すという師範の言葉は分かりやすいと思います。そして、金銭が心身の力の生産物である以上、それを有効に使用するのは、師範にとって「柔道の原理」から当然のことだったでしょう。
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