「柔道は心身の力を最も有効に使用する道である」
出典:講道館柔道概説(第一回) 「柔道」第2巻 大正4年(1915)2月
「柔道とは、どういうものですか?」こう聞かれた時、皆さんはどう答えますか?
嘉納師範が考える回答が、今回取り上げた一文です。
ここには、「相手を投げたり抑え込んだりして制する技術」「組み合って投技、または固技で勝敗を争う競技」「柔術を近代化したもの」、あるいは「人間教育」といったことは一切触れていません。当然ですが「オリンピック」も出てきません。ただ、「心身の力を最も有効に使用する道」を「柔道」としています。
「『心身の力を最も有効に使用する』なんて言えば、他にも沢山ある。それらも柔道と言うのか?」と思う人もいると思います。師範も「難ずる人はいうかもしれぬ。政治上にも外交上にも軍事上にも心身の力を最も有効に使用することがあったら、それも柔道といわねばなるまいと」と、そういう意見があることを想定しています。
それでは師範は、この意見について何と答えているでしょうか。
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