【寄稿】梅木真美選手・皇后盃初優勝に寄せて(大森淳司)

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梅木真美選手(ALSOK)が皇后盃初優勝。偉業達成に際し、梅木選手が稽古拠点としている東京・修徳高校の大森淳司監督に一文をお寄せいただきました。普段より教え子たちと稽古に勤しむ梅木選手の練習を身近で見、相談に乗り、親身にアドバイスをされていたとかねて聞き及んでおりました。編集部の依頼に快く応じて下さり、掲載をお許しくださった大森監督に深くお礼申し上げます。       

編集部

皇后盃を掲げる梅木真美

梅木真美選手・皇后盃初優勝に寄せて

2016年リオデジャネイロオリンピックの最終練習で久しぶりに見た彼女は、いつも通り飄々と稽古をしていた。

彼女が高校時代に行われたフランス遠征で一緒になった。男子の監督だった私は二言・三言会話をした程度で彼女もまた自分から話をするタイプでもなかった。顔見知りではあったが会釈をするくらいの仲だった。

本校で行われていたオリンピック女子代表選手の出発直前の稽古を一柔道ファンとして目の当たりにして、独特のオーラと日本というチームに羨望の眼差しを送っていた。

そんな中、梅木選手の乱取りを見て一抹の不安を覚えた。彼女のパワーは世界で通用するのだろうが、組み手の中で相手が手を出す瞬間に目をつぶってしまう癖が見えた。その一瞬が勝敗を左右するということはレベルが違うとはいえ中学、高校で指導をしていて十分わかっていた。しかしその場では言えるような雰囲気ではなかったし、私なんかが言える立場ではないのは十分わかっていた。

メダルラッシュとなったリデジャネイロオリンピック、初戦敗退という結果を負った彼女の心情を心配したことと、あの時、気になったことを言えなかった自分に凄く後悔を覚えた。

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