7日、世界柔道選手権がカタール・ドーハで開幕。男子60kg級は絶対の優勝候補と目された髙藤直寿(パーク24)が準決勝で敗れる波乱。優勝はこの日序盤から素晴らしいパフォーマンスを見せていたフランシスコ・ガリーゴス(スペイン)が攫った。
ガリーゴスは2014年の世界ジュニア王者。以後は世界選手権に皆勤も表彰台に恵まれなかったが、粘り強くツアーに出続けて力を練り、2021年のハンガリー世界選手権で銅メダルを獲得。今回ついに頂点に立った。
2位にはダークホースのディルショドベク・バラトフ(ウズベキスタン)が入賞。日本代表の髙藤直寿(パーク24)は準決勝でガリーゴス得意の、近い腕の上腕深くを抱える右釣込腰で「技有」を失って脱落。明らかに動きの落ちた3位決定戦もイ・ハリン(韓国)に「指導3」で敗れて5位に終わった。
速報レポートは下記。日本代表選手の全試合戦評と、全試合結果は別掲。「評」は引き続いて掲載予定。
文責:古田英毅
速報レポート
髙藤、意外な5位に沈む
優勝候補筆頭の髙藤直寿、初戦(2回戦)はハクベルディ・ジュマエフ(トルクメニスタン)に浮落「技有」で順当に勝利。引き手による素早くしつこい袖の把持で試合を支配、窮した相手の右体落に1度崩されると、次のターンでこの技に罠を張って異次元の「体落透かし」。腰を切りながら攻防一致で乗り込み、この浮落で「技有」を得た。進退、そして決め技と髙藤らしさを存分に見せたこの段階での動きは良し、むしろ平時以上の体の切れ。
3回戦のツラン・バイラモフ(アゼルバイジャン)戦は3分7秒大内刈「一本」。この試合も動きは切れていたが、序盤に抱分を失敗して危うく一本負けという場面を演じてしまい、続いて相手の小外掛を裏投に切り返してこれも投げ損なうなど、最近の髙藤としては珍しくリスクの高い「抱き勝負」を度々繰り出す危うさのある展開。修正すべき点の多い試合だった。続く準々決勝でこれはしっかり修正。自身が「やりにくい」と警戒していたルカナト・セリクバエフ(カザフスタン)を相手にまったく隙を見せぬまま、2分5秒素晴らしい切れ味の左足車「一本」でフィニッシュ。前戦の凹凸を埋めて、完全に立ち直ったと思われた。
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