文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta
52kg級の寸評をお送りする。今日も極めて限られた時間しかないが、饒舌になり過ぎないように気を付けて、2題。いずれも阿部詩の柔道から感じたことだ。まずは1題目、阿部詩の柔道の完成度の高さに関して。
阿部詩の完成度は「オールタイムベスト」レベル
強さに茫然、「強いこと自体」の魅力見せつけた5試合
前日の48kg級評で角田夏実に対して「強かった」しか言うことがない、ディティールを書き込むことの意味を「強さ」というラベルが超えると書いたばかりだが、それを遥かに上回る位相の高さ。とにかく強かった。「肩を手術して、思い切り柔道が出来るようになった」という阿部。東京五輪までは「痛くない方向を考えて肩を動かしていた」「脱臼しないように試合中力を入れ続けていた」という阿部。「手術したので、今まで痛みと付き合っていたリソースを柔道自体に注げるようになった」という阿部。東京五輪までの阿部は、己の力を抑える鎧を着せられていたのだ。リミッターを外した阿部はこうも強いのか。すべての試合が異次元だった。まずは、「人が強くあること」自体の魅力を存分に存分に見せつけてくれた5試合だったと言うしかない。
「業」「力」「強さ」、そして「そつのなさ」「隙のなさ」
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