【eJudo’s EYE】敗因はメンタルではなく技術の問題、日本人の「組み合う」リテラシーを考える/ドーハ世界柔道選手権2023・男子100kg級

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文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

今日書ける時間は55分のみ。ここで本当は57kg級評を書くつもりだったのだが、昨日出した52kg級評2本目「“引き手襟」”に見出す日本女子柔道の希望」とテーマとして繋がるところがあるので、順番を飛ばして競技が終わったばかりの100kg級評を書きたいと思う。日本代表・飯田健太郎の敗退から考えたことだ。

敗因は技術的な問題

「がっぷり」から行けなかった飯田、メンタルの問題で終わらせるべきではない

引き手で上腕、釣り手で奥襟。右相四つのピーテル・パルチクとがっぷり組み合った飯田だが、そこからの11秒をウォッチ。結果先に技を出したのはパルチクのほうで、右釣込腰から右内股に繋いだ一撃で飯田は畳に沈んだ。

「なぜ思い切って技に行かないのか」「なぜ攻め遅れるのか」「なぜ怖がるのか」と上がる声、その多くが、飯田のメンタルに因を求めるものである。ただ、それは思考停止だ。実際にメンタルも決していい状態ではなかったのかもしれないが、原因は技術的なものにある。飯田は、行こうにもいけなかったはずだ。たぶんほとんどの人が、あの状態に置かれたら、行けない。

持ちどころを、誤っていたからだ。

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