「 頭の重い時に強いて調べ物をすることや、疲労した時に徹夜することなどは、人間精力の善養利用には背く道理である。 」
出典:「勇気」『青年修養訓』 明治43年12月 (『嘉納治五郎大系』7巻214頁)
本稿は、冒頭の師範のことばだけでなく、最後まで是非読んでいただきたいと思います。
頭が重い、つまり体調が良くないときに、無理して調べ物をすることや、疲れている時に、徹夜して何かする、こういったことを精力善養利用の理論から、はずれた行為であると嘉納師範は述べています。確かに調子が良くないときに、無理して何かをすることは、コスト・パフォーマンスが悪く合理的とは言えないでしょう。休養を十分にとり、体調が回復してから、改めて課題に取り組んだ方が効率的かもしれません。
ところがこの一文には続きがあります。要約しますと、<そうは言っても、そうする事が自分の仕事上、大切であり、また多数の人、あるいは社会国家のために有用な場合は、無理をすることによって、自分が病気になるようなことがあっても、構わずなしとげることが本当の勇気である>。
冒頭のことばから一転、無理することを賞賛するような発言です。
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