「世界の将来は、大なる株式会社のようなものになるのであって、各国は政治的には独立対峙しているが、社会的には一つになってしまうと思っている。」
出典:「天覧武道大会について」 作興8巻6号 昭和4年6月
(『嘉納治五郎大系』2巻325頁)
「株式会社」に「政治」。
講道館柔道の創始者、または教育家としての嘉納治五郎師範からは、連想しにくい単語が並んでいますが、師範はどのような意図で、今回の「ひとこと」を遺したのでしょうか。
「自他共栄」という理念、あるいは、その生涯にわたるグローバルな活動から、師範には国際的な平和主義者といったイメージがあるかもしれません。そんな師範の予想する未来の世界は決して、国家が発展解消し、新たな共同体が生まれるといったことはなく、各国の独立、対峙を前提にしながら、一定の秩序がある世界であったことが分かります。
そして、そのような世界を「大なる株式会社のようなもの」としたわけです。
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